2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代における高齢者介護の質とローカル言語に関する研究
Project/Area Number |
24530745
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
森山 千賀子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (50341897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 敏廷 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10352585)
谷川 和昭 関西福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (20352578)
曽我 千春 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (20413239)
森山 治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (40322870)
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Keywords | 高齢者介護の質 / ローカル言語 / グローバル化 / 人材育成策 / 外国人労働 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ローカル言語(使用人口が少なく、使用国や地域が限定され、かつその国の国民のほとんどが使用する言葉と規定)を用いる日本・韓国・芬蘭の介護人材の育成策と就労をめぐる課題の整理を通して、グローバル化時代に求められる高齢者介護の質とローカル言語によるコミュニケーションの課題を明らかにすることである。 平成25年度は、昨年度の国外調査、今年度の国内外調査の結果を分析・整理し、研究者間で共有し、研究成果の一部は、日本社会福祉学会第61回秋季大会並びに第21回日本介護福祉学会において発表した。 今年度の国内調査では、EPAによる介護福祉士候補生の現状把握を目的に、インドネシアからの候補生の支援団体役員へのヒヤリング調査を行った。日本への残留の難しさ、受入施設の対応のばらつきなど、システム上の矛盾が指摘された。また、在日コリアンの方と日本人が共生する高齢者介護施設において、人生の終焉期に起こり得る母語返りや文化性などに配慮した介護実践について把握することを目的に、職員へのヒヤリング調査を行った。日韓の職員の協働による母語への配慮等の様相を把握することができた。 芬蘭調査では、移民者政策と社会・保健医療ケア分野での外国人介護人材の動向把握を行った。社会・保健医療分野の共通基礎資格ラヒホイタヤを補助する介護助士教育が実施され、社会的包摂と国民のニーズ充足の観点からの人材育成策が検討されていた。韓国調査では、戦前に朝鮮半島に渡った日本人(主に日本人妻)のための高齢者施設では、先行研究とは異なり、数十年にわたり日本語を話さない生活を続けてきた人たちは、認知症状が進んでも母語(日本語)が出てこない様相に直面した。しかし、入所後、日本語の歌などが聞こえると口ずさむ入居者も多く、長い間日本人であることを押えてきた表れでもあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、前年度内に一部先行して国内外の調査を実施できたこともあり、韓芬の国外調査および国内調査を行うことができた。また、研究成果の一部は、学会等でも報告することができ、概ね順調に進んでいるのではないかと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、韓国・芬蘭調査、国内調査の結果を、持ち帰った資料や文献等も踏まえ整理し、分析結果をグループで共有しながら課題の整理を行う。 研究の最終年であるため、総合的な分析・評価作業に入り、打合せ会議において情報を共有し課題を明らかにする。不足する資料・データがあれば収集し、また現地等に確認し内容を精査する。なお、韓国調査の現地調整を担ってきた分担研究者1名が産休・育休のため研究に加われなくなったが、研究代表者・分担者ともに現地との関係ができているため、特に支障はない。学会等で研究成果の発表を行い、研究成果をまとめ報告書を作成する。
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Research Products
(7 results)