2013 Fiscal Year Research-status Report
里親と里子に対するアタッチメントに焦点をあてたプログラムの開発
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24530748
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Research Institution | Shizuoka University of Welfare |
Principal Investigator |
徳山 美知代 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70537604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 肇 静岡大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (60302361)
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Keywords | 里子 / アタッチメント / トラウマ / 虐待 / ネグレクト / 里親 / ストレス / 養育環境 |
Research Abstract |
1、研究成果の公表:平成24年度に実施した介入結果を事例検討として、国際学術大会にポスター発表済と発表確定である。6歳の里子と里親を対象とした介入では、終了後には非行傾向などの外向性の問題が減少し、里親は子どもの問題行動をアタッチメントの視点から理解し、対応方法がわかったため、落ち着いて養育できるようになる。3歳の里子と里親を対象と介入では、アタッチメント障害尺度の「しがみつき行動」が終了後には、減少し、里親のストレスも軽減された。2、介入調査の実施:平成25年度は1歳10か月と6歳の里子と各里親を対象としたが、各々、里子の問題行動の減少や里母のストレス軽減などに肯定的な変化が認められた。3、マニュアル作成と研修会:実施した研修会において、作成したマニュアルを配布し、アタッチメントやトラウマに関する理解と研究協力を求めた。現在、一人の協力者が介入調査を実施している。 <意義>本研究において、里親が里子の問題行動をアタッチメントの視点から理解し、適切な関わりを行うことで、里子の問題行動の緩和と里親のストレス軽減が示唆されたことは、本研究の意義とも言えよう。例数は少ないものの児童相談所に、アタッチメントとその介入の必要性の理解を促すことができたことは、今後の里親支援に有用であろう。さらに、複数の国際学会にて発表することでアタッチメントの視点による里親支援の国際比較ができ、今後の日本における里親支援の在り方に提言できるものと考えられる。 <重要性>里親のプログラム評価に里子と里親に丁寧に継続してより沿ってくれるこのプログラムが現在の里親に必要であると記述されていた。本研究を通して里親に対する介入の必要性が社会全般に理解されることで、里親支援の内容について再考する機会となるため、重要度は高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、マニュアルの作成:児童養護施設にて効果が確かめられているアタッチメント・ベイスト・プログラムを基に、里子と里親の介入として特異的な内容を取り入れて修正し,里子と里親対象のプログラムマニュアルを作成した。2、介入調査:平成25年度10組対象の目標は、当初、予定していた本大学、および研究協力者近隣地域での協力が得られなかったため、2組の介入に留まった。3、研修会の実施と研究協力者依頼:実施した研修会にてマニュアルを配布し、研究協力者を求めた結果、1人の研究協力者が現在介入調査を行っている。4、研究協力者による介入調査:1人の研究協力者が介入調査を実施、5、有効性の検討と国際学術大会における発表;平成24年度に介入した内の1ケースは、国際学術大会にて発表済、他1ケースは発表が確定しており、国際学術大会における有効性の検討に関する発表は達成している。7、ホームページ作成は達成していないが,個人情報守秘の観点からホームページ作成は難しいものと考える。現在,里親支援システムが未確立なこともあり、介入参加者が少ないこと、ホームページ作成が未達成であること以外は、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
介入参加者数が少ないため、当初計画していた尺度を用いた統計的手続きによる有効性の検討を断念し、事前事後の測度の変化、および里子と里親の変化と介入の要因を関連付けて検討するといった質的な分析を加えた有効性の検討を考えている。平成25年度に介入した2ケースの内、1ケースについては、平成26年9月に開催される国際子どもの虐待防止学会(ISPCAN)におけるポスター発表が確定している。さらに国際子どもの虐待防止学会(ISPCAN)のシンポジウムでは、シンポジストとして、これまで介入したケースについて、事前事後の測度の変化と、里親と子どもの変化の経過について検討し、本介入の有効性,および,アタッチメントの視点による里親支援の必要性について講演することが確定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年3月にコペンハーゲンで行われたEuropean Society for Trauma and Dissociationでのポスター発表の原稿翻訳費用の算出が手続き上の都合から平成26年の予算となったこと,その他,平成25年度と平成26年度の年度をまたがった支出が未決算であり,平成26年度の予算となったこと、研修会会場費が計画時の設定よりも低い費用で抑えられたこと、介入参加者が予定より少なかったため謝礼が少なかったことの要因により、未使用額が派生した。 1、物品費:図書などの物品費として25万円を 2、旅費:国内外の学会大会における発表、および情報収集のための交通費と宿泊費、共同研究者との打ち合わせ、研究協力者や翻訳者交通費、介入スーパーバイズに必要な交通費として80万円を、3、介入補助者や介入調査協力者への謝金として5万円を、4、その他、発表や情報収集のための学会参加費、文献コピー代、郵送費、翻訳費用として40万円を計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The influence of childhood abuse, adult stressfull life event and temperaments on depressing symptoms in the nonclinical general adult population.2014
Author(s)
Nakai,Y., Inoue,T., Toda,H., Toyomaki,A., Nakato,Y., Nakagawa,S.,
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Journal Title
Journal of Affective Disorders
Volume: 158
Pages: 101-107
Peer Reviewed
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