2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90347972)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エスニシティ / 生活史 / 社会的交換 |
Research Abstract |
研究の目的は、これまで南米日系人や沖縄諸島の人々を対象に実施してきた地域研究の集大成を図ることである。研究実績の概要は以下のとおりである。 1.エスニシティ:20世紀前半のブエノスアイレスを中心とするアルゼンチン日系人の生活と体験を分析し、以下の知見をえた(辻本・Kuda, 2012)。①かなりの戦前移民は貧困と格闘し「日本に帰るのか否か」をめぐって紆余曲折を繰り返したと考えられる。②日系人は日常生活でしばしば「日本人」と呼ばれるが、戦前の二世にとって日本は想像上の曖昧な存在だった。③日系人はアルゼンチン社会から排斥されていないが、アジア系の風貌から疎外感をもつ者も一部にいる。④日系人は肯定的に評価されているといわれるが、肯定的な評価は時期と状況によりさまざまな意味を帯びていた可能性がある。 2.生活史:インテンシブな生活史の聞き取りができているアルゼンチン日系人の事例に焦点をあて、出生から移住をへて現在にいたる生活史全体の包括的な分析を行った。あわせて、生活史の地域的・時代的な背景を分析するために、文献資料の収集および現地調査を実施した。 3.社会的交換:対象としたのは講集団である。講集団とは数十人の参加者が資金を交換して助け合う慣習である。これまで蓄積してきた南米日系人および沖縄の講集団の知見を理論的に総括し、以下の知見をえた(辻本, 2013)。講集団には、面識関係にもとづく参加者選抜により資金交換の脆弱性を克服し、翻って資金交換にともなう自己束縛により面識関係の脆弱性を克服するという円環的構図がある。この構図を、集合行為論や社会関係資本に関する従来の知見を踏まえて、より一層精密に分析するとともに、講集団のような慣習を研究することの実践的意義について検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究にはエスニシティ・生活史・社会的交換という3つの研究の柱があるが、それぞれ当初の予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
①エスニシティに関する研究として、より巨視的な観点からアルゼンチン日系社会の歴史的変遷を把握するための基礎資料を整備する。②生活史に関する研究として、現在実施中の生活史の分析の完成を目指す。③社会的交換に関する研究については、講集団に関する総括を終えたので、それをもとに理論的・方法論的により一般的な研究に発展させる可能性を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を適切に推進したことによるものであり、しかも少額である。平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)