2014 Fiscal Year Annual Research Report
保護観察中の性犯罪者の性的認知の特徴を踏まえた処遇方法の発展
Project/Area Number |
24530854
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
羽間 京子 千葉大学, 教育学部, 教授 (60323383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性犯罪 / 性的認知 / 保護観察 / 再犯防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米諸国では、子どもや性的行動に関する性的認知のゆがみが性犯罪の発生や反復を促進するとの仮説のもと、多くの研究がなされ、性犯罪者処遇が実施されてきた。日本の法務省は、海外の先行研究と同様に、この仮説を採用し、認知行動療法の考え方に基づいて、性犯罪に関する“否認・わい小化・合理化・正当化”(法務省、2006)などの性的認知のゆがみを修正するため、性犯罪者の処遇プログラムを開発した。全国の保護観察所では、2006年から性犯罪者処遇プログラムが実施されている。 欧米諸国の先行研究では、強姦犯罪者の認知のゆがみの調査結果は一定していないが、子どもを被害者とする性犯罪者は、非犯罪者群や他の罪種の犯罪者群より、性的認知のゆがみが大きいことが示されてきた。ただし、わが国では、性犯罪者の性的認知に関する実証研究自体がほとんどみられない。 本研究は、(1)日本の保護観察所が実施している性的認知のゆがみに関する質問紙を用い、保護観察中の性犯罪者(仮釈放者及び保護観察付執行猶予者)と非犯罪者の回答結果を比較分析し、性犯罪者の性的認知のゆがみの有無を明らかにすること、(2)上記(1)の結果と事例研究を踏まえ、保護観察処遇の方法の発展を図ることを目的とした。 子どもや性的行動に関する質問紙への保護観察対象者と非犯罪者の回答結果を分析した結果、性犯罪者群は、非犯罪者群に比し、性的認知のゆがみが大きいことが明らかとなった。罪種別の分析により、性犯罪者群のうち、下着窃盗犯の性的認知のゆがみが大きいことを見出した。また、性犯罪を含めた犯罪一般に関する質問紙を財産犯に行った結果、性犯罪者に比べ、財産犯の性的認知のゆがみが小さいことを明らかにした。本研究は、それぞれの性犯罪者が有する、合理化やわい小化などの性的認知のゆがみの種類や、罪種によるゆがみの特徴などを踏まえた保護観察処遇を行う重要性を指摘した。
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Research Products
(4 results)