2014 Fiscal Year Research-status Report
非行からの離脱プロセスに関する研究―反応の柔軟性が抑うつに耐える力に及ぼす影響―
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24530863
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 荘子 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00313924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 英生 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30508669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑うつに耐える力 / 反応の柔軟性 / 非行・犯罪者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成22年度犯罪白書には、再非行にいたる少年の割合が年々増加していることが報告されている。犯罪を繰り返す者は、幼い時から逸脱を開始する。非行の発生や再発を防止する有効な手立てを考えることは、緊急の課題であり、一般社会からの強い要請でもある。 本研究は、その要請に応えるべく、「抑うつに耐える力(河野,2006,2003)」と「反応の柔軟性」をキーワードに、少年が非行から離脱していく心理的プロセスにおいて、どのような心理的要因が離脱へと導くカギとなるのか、その要因はどのように強化され、その過程において、少年の心の中ではどのような変化が起きているのかを検討しようとするものである。 平成26年度は、男子受刑者230名(平均年齢44.7歳)を対象に調査をおこなった。すべての非行少年が犯罪者になるわけではないが、たいていの犯罪者は、非行少年だった過去があり、再非行を繰り返して、今、犯罪者になっていることが想定される。つまり、非行少年の中でも、より非行性が進んでいた者が、今年度の調査対象者といえる。その結果、反応の柔軟性の意識的対処である「問題解決コーピング」や「情動焦点型コーピング」が高いほど、抑うつに耐える力は高くなり、一部例外はあるものの、無意識的反応を低めることが、概ね抑うつに耐える力を高めることがうかがわれた。 以上を、平成26年日本犯罪心理学会で成果として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した時点では、25年度以降、非行少年の心理的変化を面接調査で検討する予定であった。しかしながら、現時点においてもなお、プライバシーの問題もあり、継続的に調査に協力してくれる人を確保することも、調査に協力してくれそうな人々と研究責任者との仲介役をしてくれる人を見つけることも難しい状況である。この点は、引き継きの検討課題としたい。 しかしながら、非行少年の中でも、より非行性の進んでいた者が、再非行を繰り返し、犯罪者となる可能性が高いことを考えると、より処遇や対処の難しい者の特徴を検討しておくことは、大変意義深いことと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の推進方策と同様に、もともとの計画の中にあった、個別の継続的な面接に協力してくれる調査協力者を探す必要がある。同時に、やはり非行少年への継続的な面接が難しい可能性をかんがみ、より犯罪性や反社会性が進んだ犯罪者の離脱過程を検討するため、さらなるデータの収集をおこなう。
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Causes of Carryover |
研究分担者が、本務多忙により、成果発表のために海外へ出向くことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外での研究成果発表を予定しており、予算の使用は可能である。
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Research Products
(2 results)