2013 Fiscal Year Research-status Report
子育て支援における世代間関係構築のプロセスモデルとその実証的検討
Project/Area Number |
24530887
|
Research Institution | Utsunomiya Kyowa University |
Principal Investigator |
加藤 邦子 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40617784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 百子 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10405095)
牧野 カツコ 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70008035)
井上 清美 川口短期大学, その他部局等, 准教授 (30517305)
|
Keywords | 子育て支援 / 関係 / 親族 / 非親族 / 未就学児 / 支援者 / 世代間関係 / コミットメント |
Research Abstract |
1.コミットメント概念による関係への動機づけを肯定的側面とし、GSNI尺度(Strom & Strom, 1993)の尺度を参考にした葛藤的側面を含めて、関係の両価性を捉える質問項目を作成した。子育て支援の関係構築について仮説的モデルを実証的に検討した。 2.関係性を持つ対象に関しては、子育て支援施設利用者がもっとも手助けしてくれるとみなしている人、子育て支援施設で気軽に相談でき助けてくれるとみなしている人について、それぞれが利用者からみて親族か非親族か、その年齢、他の属性を尋ね、仮説的関係構築に至るプロセスモデルに投入することで、実証的に関係性との関連について検討した。平成25年11月~12月に、関東35ヶ所、関西16ヶ所の地域子育て支援拠点および子育て施設において協力を募り、調査を実施し施設の利用者1305名の協力を得た。 3.子育て支援施設の利用者を対象に、質問紙調査を実施し、未就学児を育てている親にとって、最も手助けしてくれる人と子育て支援の現場における支援者(ここではひろば支援者)、子どもとの関係を訊ねた。各対象へのコミットメント・関係による制約感・対人的苛立ちの5因子を抽出した。手助けしてくれる人が親族であるか、非親族であるか、該当する人がいないかによって、関係構築のプロセスが異なることを明らかにした。 4.関係の構築に結びつく両価的側面を絞りこみ、子育て支援施設の利用者(未就学児の子育て中の親)とひろば支援者の関係性を示す概念を抽出することができた。 5.調査結果について、最も手助けしてくれる人が(利用者からみて)親族、非親族、該当者がないで3群分けし、一部を日本発達心理学会第25回大会のラウンドテーブル「異世代間の関係を構築するー関係性概念の検討」を企画し、諏澤宏恵氏、近藤清美氏とともに、加藤、藤原佳典氏と話題提供し、牧野カツコ氏をディスカッサントとして討論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.概念を検討した上で、その概念について関係構築に至るプロセスモデルを提示し、質問紙を作成することができた。 2.関東地方35ヶ所、関西地方16ヶ所における地域子育て支援拠点等に協力を要請し、1300名を超える未就学児をもつ子育て支援施設利用者に対して調査を実施し、回収し、分析を進めている。 3.調査結果をもとに、発達心理学会において、当該テーマでラウンドテーブルを開催し、他の研究者と意見を交換し活発に討議することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.子育て支援施設の利用者は、支援者(ここではひろば支援者とする)に対してコミットメント(関係への動機づけ)・関係による制約感・対人的苛立ちをもつことが明らかにされたことから、両価的側面についてシニア世代への質的調査によって明らかにする。 2.子育て支援においては、最も手助けしてくれる人が親族であるか、非親族であるか、あるいはそういう対象に該当する人がいないかによって、子育て支援の現場における支援者との関係構築のプロセスが異なるという量的調査の結果を受けて、子育て支援施設のスタッフであるシニア世代(50歳前後以上の世代)を対象に、利用者と活動の実態や関係構築についてインタビュー調査を行う。 3.子育て支援現場における「活動の内容」、それに対するスタッフとしての満足・不満足の程度、利用者の子育てに関して日ごろから感じていることなど、インタビューガイドを作成して、シニア世代に聴取する。 4.量的調査の協力者に対して調査結果報告をフィードバックするとともに、子育て支援に関するシンポジウムを開催し、調査結果を広く伝えるとともに子育て世代の支援に貢献できるようにする。 5.7月の世界社会学会、11月の全米家族関係学会(NCFR)で研究発表し、海外の研究者と意見交換する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.調査費として900000円を見積もっていたが、地域子育て支援拠点の責任者に協力を要請して、施設ごとに調査用紙を留め置き、調査協力者のアンケートを一括して返送してもらう方法をとったために、調査費がかなり節約されたため。 2.調査協力者からは、調査結果についての報告を求められているため、次年度に調査結果を取りまとめて、各協力者に報告する予定である。 1.平成25年度に実施した調査協力者への調査結果報告の書類作成の経費にあてる。2.子育て支援施設のスタッフ(シニア世代)に対するインタビュー調査を実施し、逐語記録の入力費に充てる。3.平成26年10月に子育て支援に関するシンポジウムを企画しているため、報告書類の作成費と専門的知識の提供に対する人件費(交通費を含む)に充てる。4.平成26年7月15日の世界社会学会(横浜)、11月19日の全米家族関係学会(National Conferrence on Family Relation)での研究発表が受理されており、海外の研究者と討論を重ね、交流を深めるためバルティモアに渡航する旅費に充てる。 5.量的調査と質的調査の結果をまとめ、報告書を作成するための費用に充てる。
|
Research Products
(7 results)