2013 Fiscal Year Research-status Report
教育における宗教性に関する思想史的・人間学的研究――「京都学派」教育哲学を中心に
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24530956
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
西村 拓生 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (10228223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井谷 信彦 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (10508427)
吉田 敦彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (20210677)
岡本 哲雄 関西学院大学, 教育学部, 教授 (60268464)
山内 清郎 大谷大学, 文学部, 准教授 (80351253)
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Keywords | 京都学派教育哲学 / 教育における宗教性 / 教育と超越 / 臨床教育学 / 経験と言語 / 木村素衞 / 三木清 / 高坂正顕 |
Research Abstract |
研究2年目の本年度は、9月に2度にわたって実施した研究合宿での研究討議を中心に研究を進めた。 第1回の研究討議には、京都学派教育哲学の流れを受け継ぐ研究者のうち皇紀夫氏をお招きして、アガンベンに即して教育責任を論じた氏の最前線の議論をお聞きした上で、そこでの、教育言説を閉じつつ開く「宙づり符」という構想に、経験と言語の関係をめぐって「言語の内外を往還する」京都学派特有の発想とのつながりを見る議論が展開された。 第2回の研究討議には、三木清を研究している神戸和佳子氏と高坂正顕を研究している山田真由美氏をお招きして、両氏の研究の最前線に関する報告をお聞きした上で、三木と木村素衞の形成論・技術論の対比や、京都学派における歴史の概念などについて議論を展開し、共同研究の視野を拡大することができた。 研究合宿後、1月と3月にメンバーが各自の研究の進展状況を報告する会合を持ちつつ、各自、論文執筆等を進めた。今年度の公刊論文、学会発表等は別紙の通りであるが、特に西村は、9月に京都で開催された京都大学とロンドン大学共催の京都学派教育哲学に関する国際シンポジウムで、木村素衞の形成論に現代の教育の主潮流である目的合理的他者形成とは異なるオルタナティブな人間形成論を見出す趣旨の発表を行なった。また、その構想の応用として、関西教育学会紀要に掲載された論文と教育思想史学会のコロキウムで高等教育に関する報告を行なった。井谷は『教育哲学研究』掲載の論文と教育哲学会ラウンドテーブルで教育哲学の「語りの作法」に関する発表を行なった。これも上述の京都学派に特有の経験と言語をめぐる問題圏にかかわる研究である。岡本は、分担課題の「京都学派と実存哲学」に関わる3回のシンポジウム報告・講演を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、京都学派教育哲学の系譜を受け継ぐ研究者を招く研究討議と、若手研究者を招く研究討議をそれぞれ実施して議論を深めることができた。また、研究代表者と研究分担者は、それぞれ役割分担に応じた研究を進め、ほぼ全員のメンバーが何らかの関連の論文執筆、学会発表、講演等を行い、研究成果を公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究最終年度になるので、締めくくりとして教育思想史学会で京都学派をテーマとしたコロキウムを企画して、共同研究の成果を総括する。10月の学会に向けて各自、報告を準備してコロキウムを行い、さらに年度後半は、その内容を論文化して公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第2回の研究合宿は奈良女子大学で開催したので、交通費、会場使用料などを当初の想定より節約することができたため。 研究の締めくくりとして企画する教育思想史学会大会のコロキウムにはすべてのメンバーに加えて、研究協力者にも参加してもらうので、交通費、宿泊費が当初の想定より増える可能性がある。その分に支出する予定である。
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Research Products
(11 results)