2012 Fiscal Year Research-status Report
日本統治時代の台湾・朝鮮ろう学校における手話教育:ろう者への聞き取り調査を通して
Project/Area Number |
24530972
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
佐々木 大介 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (00405648)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 手話言語学 / 日本手話 / 台湾手話 / 韓国手話 / 教育史 / 日本統治時代 / 台湾 / 朝鮮 |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究計画の初年度にあたるため、設備備品を購入する必要があった。手話言語は、音声言語とは異なり、視覚および空間というモダリティーを使用するため、手話母語話者(ろう者)から直接収集する精密な言語データは、ハイビジョンビデオカメラによって記録することが不可欠である。記録された言語データはコンピューター上で分析を進めていく。これらの作業を行なうため、ビデオカメラ一式(ソニー社製デジタルハイビジョンビデオカメラ)およびラップトップコンピューター一式(アップル社製 MacBook Pro)を購入した。また、消耗品としてブルーレイディスクや SDXC メモリカードなども購入した。これらの設備備品のほかに、関連する書籍を購入した。 諸般の理由により台湾へと赴くことはできなかったが、韓国に赴いてデータ収集を開始し、現地で市販されている韓国手話関連の書籍・辞書類を多数購入した。2013年1月から2月にかけては、第三屆亞洲手語語言學及聾人教育國際會議(3rd International Conference on Sign Linguistics and Deaf Education in Asia、第3回アジア手話言語学・ろう教育国際会議)において“North Korean Sign Language: A First Study”(北朝鮮手話:はじめての研究)において口頭発表を行なった。一方、国内では、日本手話学会を含む諸学会への参加に加え、日本手話の言語データを収集し、また、日本手話に対する知見を得るためセミナーなどにも参加した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、設備備品の購入、データ収集、国際学会への参加を行なう予定であった。 設備備品の購入については、ビデオカメラ一式およびラップトップコンピューターなどは購入したものの、当初購入予定であった高性能コンピューター一式(アップル社製デスクトップコンピューター)の新製品発売が2013年と延期されたことにより、これの購入を平成25年度に行なうこととした。 データ収集については、当初の計画では台湾および韓国に赴く予定であったが、現地および当方の都合により、韓国に行くにとどまった。しかし、台湾および韓国とも非常に近い国々であり、初年度に行けなかった分を今年度中に取り返すことは可能であると予想される。 国際学会への参加については、2013年1月から2月にかけて香港中文大學で開催された手話言語学関係の学会で口頭発表を行なった。 したがって、一部計画に遅れは見られるものの、深刻な遅れというほどではなく、「おおむね順調に進展している」と結論づけることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
設備備品に関して、分析機器については、高性能コンピューター一式を除いては、初年度においてほぼ整備済みであるため、高額な予算は不要であると考えられるが、消耗品の購入、および、研究をさらに進めるために手話言語学研究に関連する書籍の購入費用が必要となる。 研究計画としては、初年度と同様台湾および韓国に赴いてデータ収集を行なう。同様に、1週間から半月ほどの滞在が必要であり、データの収集状況に応じては、単一年度中に複数回赴く場合も考えられる。また、初年度と同様、国際学会へ参加するため海外に渡航することが必要である(なお、現時点で、2013年7月にロンドン大学で開催される「手話言語研究の理論的問題」(TISLR: Theoretical Issues in Sign Language Research)第11回大会でのポスター発表が決定している)。国内に関しては、初年度の計画と同様、日本手話学会への参加および研究成果の発表に加え、日本国内での資料収集などを行なう予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品に関しては、初年度に購入しなかった高性能コンピューター一式、動画処理用ソフトウェア、データ保存用の外付けハードディスク、動画を観るためのテレビなどの機器などを購入する予定である。 実際の研究面については、台湾および韓国に赴いてデータ収集を行なうための旅費、国際学会へ参加するための旅費、被験者、インタビュアー役、手話通訳、通訳、言語資料の翻訳および整理要員に対する謝金などを支出する予定である。
|
Research Products
(1 results)