2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530974
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 隆城 星城大学, 経営学部, 准教授 (90351204)
柴田 好章 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70293272)
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Keywords | 授業研究 / 授業分析 / ティーチング・スクリプト / 国際比較授業分析 / 授業改善 / 文化論 / 教材研究 / イラン |
Research Abstract |
研究目的:本研究では、国際比較授業分析による授業の文化的スクリプトの解明を行い、さらに文化複合の見方にもとづき考察を行い、文化的スクリプトの全体構造を明らかにする。具体的に、日本型授業研究モデルが移転されている海外の学校に対して逐語記録に基づく授業分析という研究手法を通して、授業に深く関わる文化的スクリプト(文化の台本)を解明する。まず、海外の授業実践を基にして授業観(授業規律・授業形態・授業技術・学力など)ならびにその差異を明確にするために、日本と海外の教員と研究者の目から相互に比較授業分析をする。そして、各国の授業観における差異から、ティーチング・スクリプトの基底となる教育観や学校観などを顕在化し、これまでの分析の結果に基づき、授業実践の背後にある心象、価値観、信念や習慣化された行動様式を明確にする。さらに、教育観、学校観、人間観、教師観、授業観、教材観から授業に深く関わる文化的スクリプトを明らかにする。 研究成果:1)授業の文化的スクリプトに関する比較研究を実施し、イランなどの授業実践を基にして授業観(特に教材観)を明確にするために、日本とイランなどの教員と研究者の目(レンズ)から相互に比較授業分析をした。分析結果として、教師が、教材研究を通して生徒の思考を予想し、子どもの発想を受け止め、そこから学習課題を追求していくという新たなティーチング・スクリプトを構築するための課題や取り組みが明確になった。さらに「クルミ」という教材の問題(教材の扱い方の失敗)の検討を通して、授業デザイン、特に教材研究において何が大切であるかが明らかになった。 2)研究成果の一部を学術論文として国内の雑誌で発行した。また国際会議・国内学会(日本教育方法学会・カリキュラム学会・教育工学会・協同教育学会など)でも研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り海外(イランなど)で日本型授業研究を実施し、データを収集した。また、日本とイランなどで国際比較授業を実施し、日本の教員と研究者の目(レンズ)から日本と海外の算数・数学の授業を分析した。さらに、それらの比較授業分析のデータをもとに、ティーチングの文化はどのように変えられるか、深いレベルでの教師の認識や行動の在り方、すなわちティーチング・スクリプトはどのように変容をもたらすことができるかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本(京都市など)と海外(イランなど)の授業研究の記録・データと比較分析会の内容を整理し、日本語に翻訳する。2)各国の授業のデータを整理・分類し、特徴を明らかにする。3)各国のデータを基づく、日本で比較授業分析会を行い、日本の教師の目(レンズ)から海外の授業(算数・数学など)を検討する。さらに、日本の授業を海外の授業と比較分析する上で、教師の授業観を明らかにし、両国のティーチング・スクリプトを分析する。4)比較授業分析の結果に基づき、例えば、コミュニケーションスタイル、知識活用、授業形態、授業規律の違いや板書・デジタル黒板などの効果を明らかにし、授業実践の背後にある心象、価値観、信念や習慣化された行動様式、およびそれらの相互関連の構造を明確する。5)今までの研究成果と各国の学校での個別の教員へのインタビュー調査などをもとに、学校観、授業観、教材観、人間観、教師観などを基礎とした研究から、授業の文化的スクリプトを明らかにする。6)研究成果の発表:研究成果を国内学会(日本教育方法学会など)と国際学会・雑誌で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理由 研究計画段階で、イランの各学校は予算的にビデオを購入することが困難であるため、デジタルビデオカメラ器機1台とボイスレコーダー3台を購入する必要があったと予定しました。しかし、研究実施の際、必要ではないと確認できましたので、本年度、授業分析ソフトを購入する予定しました。 使用計画 授業記録の分析専用のシステム一式(分析ソフト)を購入する予定です。
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Research Products
(11 results)