2016 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Study for the Reinterpretation of the Educational Thought of J. A. Comenius
Project/Area Number |
24530977
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
相馬 伸一 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90268657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コメニウス / パトチカ / 教育思想 / 近代批判 / 教育哲学 / 開放性 / 再解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、所属学会での活動と研究課題の取りまとめを進めた。 教育思想史学会の年報『近代教育フォーラム』へのコメント論文の執筆にあたっては、コメニウス教育思想の再解釈の可能性という観点から執筆し、斯界における学術論議の進展への貢献を試みた。また、オーストラレーシア教育哲学会では、日本・台湾・韓国の研究者のミニ・シンポジウムを組織し、西洋教育思想のアジアにおける受容という文脈において、日本におけるコメニウス受容の特質を論じた。 研究成果の集約に関しては、2016年(平成28年)7月から8月にかけて、チェコ共和国で二番目の歴史を有するオロモウツ市のパラツキー大学に滞在することができ、恵まれた研究環境で作業を進めることができた。帰国後、集約原稿の手直しを経て、出版社に受理された。 本研究の成果を集約した『ヨハネス・コメニウス--汎知学の光』(講談社選書メチエ、2017年)は、これまで日本においてもっぱら教育学分野でとりあげられてきたコメニウスを、中央ヨーロッパの歴史的文脈に位置づけ、哲学・教育・言語・政治・宗教と、彼の広範な足跡を網羅的にとりあげた。本書はまた、コメニウス解釈の歴史についても一章を割くことで、コメニウスの再解釈の必要性と可能性を説得的に論じるべく努めた。 さいわい、学術的なレベルを維持しつつも、広い読者を対象とする出版機会を得ることができたことによって、研究成果を広く発信することができ、科学研究費が交付された責を一定程度果たすことができたと考える。
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Research Products
(8 results)