2012 Fiscal Year Research-status Report
英国のエスニック・マイノリティ児童生徒の学力向上政策について
Project/Area Number |
24530991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡部 孝子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90302447)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 英国 / エスニック・マイノリティ / 学力向上 |
Research Abstract |
本研究の目的は1997年に政権を獲得した英国労働党が推進したエスニック・マイノリティ児童生徒の学力向上政策を問い直し、さらに2010年に政権交代を果たした現保守党・自由民主党との連立政権において、エスニック・マイノリティに対する教育政策の転換がどのように行われているかについて明らかにすることである。 平成24年度に実施した文献調査や研究者への聞き取り調査から、新しい全国共通カリキュラム改訂及び中等教育の評価や資格認定制度の改革(GCSE改善計画)が計画され、英国の学力観の捉えが変わってきていることが明らかになった。英国の教育相ゴブ氏が目指す教育目標は、子供が構造化された地の集積を確実に獲得できるようにすることである。新しいカリキュラムでは、初等学校から外国語が義務化されること、コンピュータ操作が教科として採用されること、中核教科である国語、数学、科学については、習得すべき基礎的内容がカリキュラムの中に詳細に記述される。 また 学力の格差を是正することは、労働党政権時代から継続して取り組まれている教育課題である。しかし教育改革が進む中、2010年にエスニック・マイノリティ学力向上補助金が廃止され、学校補助金の中に包括された。その使途は学校の裁量に委ねられており、外からは「見えにくい」状況になっていることがわかった。補助金廃止後実施された2011/ 2012のGCSEではエスニック・マイノリティ生徒全体の成績が前年度より下がっている。今後、その要因についてのの分析を進めていきたい。 現地調査では、マンチェスターの大学で学校教員養成課程に在籍している学生3名を対象に聞き取り調査を行った。 従って、今年度の研究では、英国の教育改革により、エスニック・マイノリティの学力保障が危うい状況下にあることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目標としては、1)英国が考える「学力」とは何かを分析すること、2)エスニック・マイノリティ児童生徒の学力格差について分析すること、3)エスニック・マイノリティ出身の大学生を対象として聞き取り調査を行い、彼らの学習経験について探ること、の3つが設定されていた。 1)については、GCSEの過去の問題の分析に取り組み、現在まとめているところである。さらに、現在検討されている新GCSEや英国バカロレアが今後の分析対象となるという課題が見い出せた。2)については資料を収集し、分析をまとめているところである。特に2010/2011のGCSEの結果では、エスニシティによる学力格差の傾向が注目されていたが、2011/2012では、エスニシティだけではなく、加えて学力の地域格差が課題であることがわかった。3)については、当初の計画より聞き取り調査の協力者は少数ではあったが、家庭での学習支援や大学での学びについて有益な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続きGCSEの過去の問題分析を行う。また新GCSEや英国バカロレアとの相違を比較し、英国が目指す「学力」とは何かを明らかにし、その上でエスニック・マイノリティ児童生徒の学力向上に関する課題を検討する。 さらに、2010年に確立した連立政権下で、エスニック・マイノリティ児童生徒の学力向上が現在進行中の教育改革の中でどのように位置づけられているのかを調査していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費使用において、残額は1,399円となった。次年度に繰り越し有益な使用を考えたた結果である。 平成25年度は、現在使用しているレザープリンタが故障したため、研究の効率も考慮し、レーザープリンタ複合機を購入する。また、日本国際教育学会、日本比較教育学会等の出席や国内の研究者への聞き取り調査のために国内出張旅費、NALDIC(英国カリキュラムにおける言語の発達学会)年次大会の出席や研究者との情報交換、エスニック・マイノリティの学生などへの聞き取り調査を実施するための外国出張旅費、図書購入費としていただいた研究費を使用する予定である。
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