2012 Fiscal Year Research-status Report
人口減少地域の地域資源を機能させる地域共生型学校モデルの模索-日韓比較の視点から
Project/Area Number |
24531015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
尾崎 公子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90331678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60165818)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 韓国 / 国際研究者交流 韓国 |
Research Abstract |
本研究は、日韓比較や学際的観点を導入しながら、過疎地および中山間地域における地域資源を活かすための諸要素・条件を抽出し、地域共生型学校を成立させる方法、仕組み、プログラムの開発を目的としている。 23年度は、韓国および兵庫県神河町、夕張郡栗山町、富良野市東山地区の現地調査を行った。韓国では、小規模校活性化策のひとつである田園学校事業に着目し、2度にわたる現地調査を行った。1度目は、教育科学技術部、忠清南道教育庁、田園学校ガナム小学校・ホンドン中学校を訪問し、①中央政府と地方政府の学校適正規模に関わる政策、②田園学校の実態、を把握することを目的とした。2度目は、ホンドン中学校を拠点にして、保護者・住民が教育・福祉機能を分かち合うコミュニティが形成されつつあることに着目して、ホンドン地区を再訪し、そうした取組みを可能にしている要因を地域住民のインタビューを通して明らかにすることを目的とした。 国内では、20年にわたって山村留学を継続させ、留学生を受け入れてきた神河町の地域住民、また、広域過疎化し、小規模校を多く抱えるなか、教育活動と地域活動を架橋するプログラムを開発している北海道の栗山や東山地区の教育委員会、学校関係者および地域住民のインタビューを行った。 韓国および国内現地調査から、小規模校を存続させている地域には地域力があり、地域のポテンシャルを見える化する働きをするのが学校あるいは教育プログラムであるという知見を得た。また、日韓比較の観点から、韓国では、①小規模校を活性化させる教育理念として「教育福祉」が政策理念として掲げられている、②学校への自治権拡充が進んでいる、という2点が日本との相違点として見出された。 以上のように、地域資源を機能させている地域の実態調査を進め、基本的な知見が得られたことが当該年度の研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①日韓比較、②学際的観点を導入しながら、過疎地および中山間地域における地域資源を活かすための諸要素・条件を抽出し、地域共生型学校を成立させる方法、仕組み、プログラムの開発を目的としている。 24年度では、①や②に基づく研究が遂行できた。①については、海外研究協力者である公州大学チェ・ジョンヨル教授や同大学肥後耕生講師、元ホンドン中学校、現ホンソン中学校ミン・ビョンソン教諭ととも良好な協力体制を築き、2度の訪韓を果たした。そこで、日韓の小規模校対策の相違点などについての議論を深め、地域資源を活かすための諸要素・条件を抽出する準備作業を進めることができた。②については、農村社会学、家族社会学を専門とする兵庫県立大学佐藤宏子教授と共に韓国、神河町を訪問し、「地域社会の内在力の活性化」や「農村地域開発」および住民の「生活の質」に、田園学校や山村留学がどのような影響・効果をもたらしているかといった教育学以外の分析枠組みを提示して頂いた。 また、研究実績の概要に述べたように、韓国・国内調査双方において、地域資源を機能させている地域の実態調査を順調に進め、基礎的な分析材料を入手することができた。 以上、①②の方法論で研究を進め、現地調査から基礎的データも入手できたという理由から、「おおむね順調に進展している」との達成度評価ができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、交付申請書に記載したように、チェ教授を日本へ招聘し、日韓の事例研究の比較検討を進める一方、国内の神河町、北海道の富良野市東山地区や夕張郡栗山地区の現地調査を継続する。 そして、ソーシャルキャピタル、コモンズ等の分析枠組みを検討しながら、地域特性・地域力の考察を進め、地域資源を活かすための諸要素・条件を抽出し、地域共生型学校を成立させる方法、仕組み、プログラムの開発のモデル化を図っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予算残額が発生したのは、年度末の韓国出張旅費が未払いとなったためであり、未払い分は282,460円で残額との差額は17,733円である。次年度の使用計画では、物品費5,000円、旅費700,000円、人件費・謝金290,000円、その他5,000円を予定しており、超過分となる17,733円は次年度使用計画の旅費から充当させる予定である。
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Research Products
(5 results)