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2013 Fiscal Year Research-status Report

幼保一体化に向けた協働的・統合的保育モデルの検討:海外事例の分析と日本への示唆

Research Project

Project/Area Number 24531029
Research InstitutionNagoya University of Arts

Principal Investigator

星 三和子  名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (30231004)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 向井 美穂  十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (40554639)
上垣内 伸子  十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (90185984)
Keywords統合的な保育 / イタリア / 事例研究 / 協働
Research Abstract

研究目的は、幼保一体化の子ども園の保育の一つのモデルとして、イタリアのピストイア市の統合的な保育の事例を調査・分析することである。ピストイアの保育の鍵の一つは関係者間の協働による保育であり、その創造と発展の過程に寄与した諸要因、現在の諸条件を明らかにし、その上で、日本の幼保一体化の保育が示唆を受けて改善できる点を探ることを目的とする。このために、24年度、25年度にピストイア市で聞き取り調査および保育現場の観察を行った。
25年度は現地調査の2回目を行った。聞き取り調査は、元市幼児教育担当局長、幼児学校1ヶ所、児童館2か所の聞き取りを行った。観察調査については、25年度は、幼児学校(1ヶ所)と保育所(1ヶ所)で各年齢クラス、児童館2ヶ所の観察とビデオ撮影を行った。また、この保育の理論的な面で協同しているローマの国立認知研究所からも情報を得た。
以上の聞き取りの起こし翻訳記録と観察結果のデータを150ページの冊子に資料集としてまとめた。観察データと聞き取りデータから分析を開始し、協働による統合的な教育の分析の観点として、以下の5つの側面が見いだされた。①行政担当者と教育現場の協働関係、②施設間の協働、連携体制、③職員の雇用、労働条件を通しての統合的な教育の仕組み作り、④研修および職能開発を通した職員の質の向上、⑤教育プログラムと教材の一貫性による統合的な教育内容、⑥子どもの観察と対話から生まれる柔軟な教育実践。これらに関して詳細な分析を進行中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

25年度は24年度に引き続き、ピストイア市の幼児学校、児童館の職員の聞き取り調査、および幼児学校と保育所(各1ヶ所)の各クラスでの観察をほぼ予定通り行った。ただ、保育所1ヶ所では、観察は行えたが、聞き取りは予定日の前日の自然災害によって不可能になり、観察と聞き取りを照合させての検討が中断している。
上記の調査から、0歳から6歳までの一貫した統合的な保育の考え方と実践に関する資料を得、さらに、幼児教育から小学校教育への接続の試みについても情報を得ることができた。また、ピストイア市の統合的な保育の最初の構想と発展のプロセスについては、現在の統合的な保育の分析に不可欠であるが、これについて行政の中心を担ってきた元市局長から詳細な情報を得ることができた。
合わせて、保育園、幼児学校での教育プログラムに関する資料も得た。
以上の調査から、統合的で一貫した教育ができる条件に上記の6つの側面が挙げられたので、それぞれについての詳細な分析を進めているところである。得ることのできた分析資料の内容面では、期待に違わぬ成果が得られ、さらに進んだ分析の可能性が開けた。
また、ピストイアの調査と並行して、他のヨーロッパ諸国でのいくつかの事例についても文献により分析を行った。

Strategy for Future Research Activity

(1) ピストイア市の調査結果と資料をもとに、以下の観点から、0~6歳の協働による統合的な保育・教育の条件について、詳細に分析する。①行政者と教育現場の協働関係の在り方、②施設間の協働・連絡体制、親との連携、媒介役の職種の役割、③職員の雇用、労働条件を通しての統合的な教育の仕組み作り、④職員の研修および職能開発を通した職員の質の向上、⑤教育プログラムと教材の一貫性による統合的な教育の内容、⑥子どもの観察と対話から生まれる柔軟な教育実践。
(2)現場での補足的な情報の収集。幼児学校および保育園での観察から、それがどのような教育目的から行われていたか、学年間で共通の教育プログラムはどのような目的であったか、等観察結果の解釈を教師に質問するべき事項がいくつか生じた。また、統合的教育のための教師の研修の内容についての情報が必要である。さらに、聞き取りが行えなかった保育園1ヶ所での聞き取りが必要である。そこで、次年度は1名が調査に行くこととした。
(3)日本の保育にどのような点が適用できるかをという観点に関する研究計画として、現場の保育者の意見を収集する予定である。ピストイア市の実践の6つの側面のうち、日本の現場に生かせる点を現場の保育者が挙げることができるのは、おもに教育内容、実践、研修の観点についてと思われ、この点を中心に、日本の保育所および認定こども園でフォーカスグループインタヴュー調査を計画している。また、ピストイア市の事例から得られた重要な点として、行政と現場の連携、教育コーディネータの意義、施設間の連携、雇用・労働条件、職能開発がある。この点については、文献により考察を深め、提案を行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度への持ち越し分については、聞き取り調査1回(フランス語での聞き取り)分は研究分担者が起こし翻訳をしたために、その分の人件費の支払がなかった。その他、消耗品費が予定額以下であった。そのために、次年度に持ち越すことができる。
次年度の研究計画に添って、海外調査、国内調査、翻訳、起こし記録作成、まとめと発表の費用が必要となるが、これに持ち越し分を加える。
(1)26年8月まで: これまでに得られた資料および文献による分析。(2)26年9~11月:保育所および認定こども園でのフォーカスグループインタヴュー(4か所を予定):教育プログラムと教材、教育実践、研修を中心としてピストイアの事例を紹介する資料を作成し、これをもとに説明し、保育者へのインタヴューを行い、意見および日本でどのように応用できるかに関する考えを得る。この録音起こし記録を作成、分析する。使用予定品目:聞き取り謝礼。交通費、記録起こし謝金。(3)26年11月:ピストイアの再調査を行う(調査者1人)。使用予定品目:旅費、通訳代。聞き取り起こし翻訳謝金。資料翻訳代。(4)26年12月~27年2月;全体の考察。提案を行う。論文作成用意および学会発表。使用予定品目:学会参加費、旅費。報告書印刷費。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] イタリア、ピストイア市の統合的な乳幼児教育:「素材」を使った教育活動の発達的意義2014

    • Author(s)
      星三和子、上垣内伸子、向井美穂
    • Journal Title

      名古屋芸術大学研究紀要

      Volume: 35 Pages: 313ー330

  • [Presentation] 協働の保育(2)イタリア、ピストイア市の子育ち・子育て支援

    • Author(s)
      上垣内伸子、星三和子
    • Organizer
      日本保育学会
    • Place of Presentation
      中村学園大学
  • [Presentation] ピストイア市の協働の保育(3)責任をもつこと、個を育むこと

    • Author(s)
      星三和子、向井美穂、上垣内伸子
    • Organizer
      日本保育学会
    • Place of Presentation
      大阪総合保育大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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