2013 Fiscal Year Research-status Report
パネルデータ・回顧データに基づく教育効果・発達過程の計量分析
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24531078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中澤 渉 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (00403311)
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Keywords | パネル調査 / 公教育費 / 教育システム / 労働市場への移行 / 国際比較 / 傾向スコア / 学校外教育 / 因果効果の異質性 |
Research Abstract |
本年度は海外の学会において2度のパネル調査データを利用した学会発表を行った。まずWorld Congress of Comparative Education Society(WCCES)では政府の教育支出意識に関する国際比較をISSP(International Social Survey Program)における政府の役割調査によって行い、その理解を深めるために日本のパネルデータ分析を補強的に利用した。その結果、子どもの人口比が多いところでは教育費の政府支出が高いことを容認し、逆に政府の規模が大きいと教育費支出割合が高いことに否定的になりがちだが、日本の場合、政府の規模が小さいにもかかわらず教育の公共支出に否定的で、しかも子どもがいる人といない人の態度のギャップが大きいことが明らかになった。 またInternational Sociological Associationの社会階層部会における発表では、教育システムとその後の労働市場におけるキャリアの関係性について台湾との比較を行った。全体としては日本の方が職場への定着率が高いものの、ジェンダーギャップは台湾の方が少ないことも明らかにされた。 また教育達成における学校外教育の実質的な効果について、傾向スコアを用いた補正の分析を行い、その成果が『教育社会学研究』に公表された。その結果は、塾による「効果」はそれほど単純なものではなく、塾にもともと通う傾向のある層(高階層)とそうでない層(低階層)で、効果の現れ方が異なることが明らかにされた。 特に最初のWCCESの成果を発展させたものの一部については、勁草書房から刊行される単著に収められている。原稿は概ね仕上がっており、次年度に公刊できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた海外の学会発表をこなした。またレフェリー論文も掲載されている。それ以外にも、本科研の成果を収めた単著の本の原稿もほぼ完成している。こうしたことから、順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の予定は、ほぼ仕上がりかけている単著の書籍を無事公刊すること、また夏に予定されているInternational Sociological Association (ISA)世界大会での発表を行い、その成果をできるだけ論文化してまとめることである。なお、この学会のアブストラクトは既にアクセプトされている。 日程などで可能であれば、できればもう一度、海外での英語で学会発表を行い、論文化する作業に取り掛かりたい。すぐにということにはならないが、将来的にはこうした成果を英語の書籍にまとめるべく、作業に取り掛かりたい(海外の出版社とも交渉を開始する予定)。
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Research Products
(4 results)