2012 Fiscal Year Research-status Report
基礎数学学習にスペシャル・ニーズのある子への教育介入データベースの活用開発
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24531148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小田切 忠人 琉球大学, 教育学部, 教授 (00112441)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数学教育 / 数認識 / スペシャル・ニーズ / 治療的教育介入 / 学習困難 / 知的障がい / 発達障害 / 学習理論 |
Research Abstract |
【治療的な教育介入の継続と収集資料の電子化】 ダウン症児および経度知的障がい者について教育介入を継続し、数年間にわたる、十進法を理解する学習の過程をほぼ明らかにすることができた。そして、そのデータ(紙媒体)の電子化を進めた。なお、自閉的な発達障害のある子どもの数学学習特性についての観察、データ収集も継続している。 【研究成果の発表】 国内研究発表は、数学数学教育協議会の全国研究大会(鹿児島大会)(2012年8月)と(「数学的認識発達スペクトラムと教育介入課題」)、同春の全国研究集会(2013年2月)(桐朋学園)(「十進法の概念を獲得するとは-その学習の過程-」)で講座を担当した。また、国際会議では、ICME12のTSG4で口頭発表した(Mathematical Achievement and Creativity Inherent in Children with Special Needs)。 【Webデータベースβ版の作成】 Webデータベース・システムを作成し(β版)、収集データをWeb上で共同利用する準備をした。 【教育現場との共同】 石垣市立八島小学校および大浜中学校の特別支援学級/教室で授業づくりを共同した(研究成果から得られた示唆を授業の形にした。)。それらの成果を普通学級の算数の授業づくりへと試みた(福井大学教育学部附属小学校での研究授業(7月2日))。また、毎月の現場教師との定例研究会で研究成果の検証を、参加教師担当の子どもの事例に適用する形で行った。ここでの参加教師はWebデータベース・システム活用の開発の研究協力者となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Webデータベース・システムのβ版を作成したことにより、その活用試行が可能になった。本格的な活用開発のためには、システムのデバックや改善が必要であるが、これを試行しながら行う準備ができた。 データベースの内容については、懸案だった知的発達障がいのある子どもへの、治療的な教育介入の過程について、実際の学習達成によって、つまり、期待・希望、あるいは見込ではなく、事実として、ほぼ明らかにできたことは、本年度の研究成果と言える。 ただし、紙媒体である収集データを電子化する作業が、データ数の大きさに追いつかない状況にある。限られた予算内ではあるが、この作業も引き続きさらに進めたい。 以上、概ね、当初計画通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
収集データの数の大きさに比して(もともと収集データが大きかったのであるが)、それらの電子化作業が遅れ気味であるが、課題となっていたさらなるデータの収集、および、現場教師との研究ネットワークづくり、そして、収集データのWebデータベースシステムのベータ版作成は計画通りに進めることができたので、計画通りに徐々に開発Webデータベース・システムの試用を拡大する。 初めはシステムのデバック・改善を目的にし、その目的をシステムを活用した授業開発へと変えていく。授業開発は、算数・数学の学習にスペシャル・ニーズのある児童・生徒への教育介入(授業)を直接的にターゲットにするが、普通学級における算数・数学の授業づくりを含むものとする。インクルーシブな学級での算数・数学の授業の一つの提案となる。 開発するWebデータベースの利用は、国内に限らない国際的なものとする。結果、このWebデータベースは、その活用を通して、国内に限らない教員や研究者が実践的な教育研究を交流するプラットホームとなることを期待する。 以上の展開を研究推進イメージとして持って、計画通りに進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は、Webデータベース・システムβ版の作成と、国際会議が開かれる年でもあって収集データに基づく研究発表に力点を置いたが、次年度は、作成したWebデータベース・システムの試用へと力点を移す。具体的には、以下のとおりである。 1)Webデータベース・システムβ版のデバック・改善を、研究協力者(研究者と教育現場教員)に利用協力参加を求めて(ユーザID発行して)行う。セキュリィは、ホスト・コンピュータを研究室に置き、そのミラーをWeb上に置くシステムで対応する。 2)スペシャル・ニーズの子どもへの教育介入を継続し、引き続きデータを蓄積する(経度に知的な障がいのある成人とダウン症の生徒の数認識の発達についてのデータ)。また、教育現場のニーズに応えて、学習達成診断を行う(様々な知的障がい、あるいは発達障がいのある児童・生徒の学習を参照することによる収集データの検討と活用の試行)。 3)収集データの電子化を進める。(紙媒体データのスキャナによる読み取り。研究補助の人件費。) 4)遠隔地の研究協力者との打ち合わせや、出前の学習達成診断・授業、研究発表などのために出張を行う。
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Research Products
(4 results)