2014 Fiscal Year Research-status Report
剣道競技未経験体育教員向け剣道指導法の確立-短期間な競技者育成を目指して-
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24531156
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
今福 一寿 明星大学, 教育学部, 教授 (50147922)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 剣道指導法 / 剣道競技者 / 竹刀操作 / 動作分析 / 指導マニュアル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、この剣道選手の打突方法を、剣道初心者や剣道未経験の体育指導者に短時間に習得させるための練習マニュアル(竹刀操作や身体移動の方法)を開発するために実践的指導を含めながら研究を進めた。特に剣道初心者や剣道未経験の体育指導者に短時間に習得させるための練習マニュアル(竹刀操作や身体移動の方法)を開発するために実践的指導を含めながら研究を進めた。 初心者にとっては、竹刀操作と身体移動を素早く同時にコーディネーションさせて打突することは困難を伴う。竹刀操作が未熟な状態で踏み込み動作を学習させることは、正確な竹刀操作を必要とする応じ技など、その後の学習内容の習得に影響することが考えられる。そこで我々は、「足さばき」が「竹刀操作」にどのような影響を及ぼすのかについて、初心者と経験者に送り足と踏み込み足によって「正面打ち」を行わせ検証した。これらの結果を基に、今後の体育授業や課外活動での打突動作の指導方法を考える基礎資料を得ようと考えた。 初心者に正面打ちを「送り足」と「踏み込み足」で動作させた結果、それぞれの打撃力に特徴が認められた。「送り足」動作による正面打ちの打撃力は標準偏差が低く、安定した打撃が繰り返されていることが分かった。一方、「踏み込み足」による動作では打撃力の標準偏差が高く、「送り足」動作に比べて不安定な打撃が行われていることが分かった。また、動作分析の結果「送り足」動作では打撃の瞬間に前傾姿勢が少なく、左足も引付けられて安定した姿勢が保たれていた。しかし,「踏み込み足」による正面打ちは打撃の瞬間に前傾し,左足引付けも遅れる傾向が認められた。動作の違いからも竹刀操作への影響が考えられる。剣道初心者が正しい竹刀操作を習得する大切な時期には、「送り足」による打突動作の学習を進めることが,剣(竹刀)の適切な操作の習得に必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剣道競技者の竹刀操作の仕組みは、動作分析の結果明らかにすることができた。しかし、実際に初心者や剣道経験のない体育指導者に竹刀重心付近を回転軸に竹刀操作をさせる技術を効果的に習得させようと考えた場合、「踏み込み足」より「送り足」による打突が正確な竹刀操作を発生させる頻度が高い傾向であることが分かった。 次の段階としては、より効果的に剣道打突を習得させるために、竹刀の握り方が重要であることが実践的指導結果から考えられた。従って、竹刀の操作方法と身体移動の関係についてさらに実験内容を精査し、多角的に実験を進めることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的検証結果と実践的検証結果の検討を踏まえ、より効果的な竹刀操作の方法と身体移動の関係について検証を進めていく。 ①竹刀の「握り方」が構え及び打突動作習得に及ぼす影響を明確化する。②腕部の上筋群と下筋群の使い方による竹刀操作方法を明確化する。③打突動作習得に「送り足」と「踏み込み足」の有効性を明確化する。④柄頭回転軸型打突から竹刀重心付近回転軸型打突へのスモールステップの学習内容を明確化する。また、剣道選手の打突技術を体系化しまとめる。この技術の明確化によって、剣道初心者や剣道を経験したことのない体育指導者の剣道技術習得のための指導マニュアルを作成すし、小冊子にまとめ指導書を作成する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、平成24年度からの剣道一流選手の打突方法の分析結果を基に、初心者に対する実践的打突方法の指導を一年間実施し、その分析・検証結果を基に、体育指導者が短時間に剣道打突を習得する方法と剣道打突指導マニュアル(竹刀操作や身体移動の方法)を開発し作成する予定で研究を進めていた。その過程で、竹刀鍔元の竹刀操作における「手の裡」左手小指側の竹刀スライディング打突方法の分析結果からその有効性が認められた。しかし、一年間の初心者に対する実践的指導から、より効果的な打突方法の習得には柄頭先端部分の竹刀操作の有効性が考えられ、その指導結果の分析と検証を行ったうえで、より効果的な剣道指導マニュアルの開発と作成を次年度に行うこととし、未使用額をその経費に充てることとしたい。柄頭先端の竹刀操作方法は、剣道の運動文化を継承する技術の重要な方法と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の研究成果を達成するため、被験者として剣道初心者に協力を得ながら、柄頭先端部分の竹刀操作を中心とする多角的実験を行い、その解析と検証結果から剣道初心者や剣道を経験したことのない体育指導者の剣道技術習得のための指導マニュアルと指導書の作成に未使用額を充てたい。 具体的には、実験被験者(剣道初心者)に対する謝金や剣道の打突動作の画像処理のためのデジタイズ作業、実験準備(デジタイズポイントの装着など)や動作分析の協力者に対する謝金として研究費を使用したい。また、剣道選手の技術体系や剣道指導マニュアルをまとめた出版物の作成に研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)