2013 Fiscal Year Research-status Report
戦争体験「語り」の継承カリキュラムの開発と学習材としての活用
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24531174
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
外池 智 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20323230)
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Keywords | 戦争体験 / 語り / 沖縄 / 沖縄県平和祈念資料館「ボランティア養成事業」 / 「子や孫に語り継ぐ平和のウムイ事業」 / またひめゆり平和祈念資料館「次世代プロジェクト」 / 「南風原平和ガイド養成講座」 |
Research Abstract |
本年は、昨年の広島と長崎での事例を踏まえて、沖縄で取り組まれている戦争体験「語り」の継承プログラムを取り上げ、そのカリキュラム構成を中心に検討していった。具体的事例としては、沖縄県平和祈念資料館による「ボランティア養成事業」と「子や孫に語り継ぐ平和のウムイ事業」、またひめゆり平和祈念資料館における「次世代プロジェクト」、そして南風原町における「南風原平和ガイド養成講座」の4件を取り上げた。とりわけ、ひめゆり平和祈念資料館における「次世代プロジェクト」、そして南風原町における「南風原平和ガイド養成講座」では、「語り」の実践やフィールドワークそのものに参加させていただき、参与観察・調査を実行した。また、沖縄県平和祈念資料館による「ボランティア養成事業」では「友の会」会長の安田國重氏、同会事務局長の比嘉涼子氏、同会副会長の久保田曉氏、「子や孫に語り継ぐ平和のウムイ事業」では沖縄県平和祈念資料館主査の宮城哲夫氏、またひめゆり平和祈念資料館学芸課長の普天間朝佳氏、同館学芸課「説明員」の仲田晃子氏、同館「証言員」の新崎昌子氏、南風原文化センター学芸員の上地克哉氏、南風原平和ガイドの会会長の玉城双善氏、同会前会長の赤嶺敏明氏、会員の徳田球美子氏には、直接その取り組みをインタビューさせていただいた。 これらの分析・検討結果は、暫定的ながら日本社会科教育学会 第63回全国研究大会 自由研究発表(山形大学)において「戦争体験「語り」の継承とアーカイブ―沖縄の取り組みを事例として―」として学会発表した。また『秋田大学教育実践研究紀要』第36号(2014年5月発行予定)にも同様の成果をまとめたものが掲載確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述したように、本研究での中心的分析対象である広島、長崎、沖縄の事例のうち、昨年度の広島、長崎に引き続き、今年度は沖縄に関しては概ね順調に調査分析が進んでいる。戦争体験の「語り」の継承に関して、沖縄で取り組まれている代表的な4件を取り上げ、ほぼ網羅的に調査を実行することができた。また、その調査結果は、日本社会科教育学会における学会発表において公開することもできた。また、広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクトに関しては3年計画、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」は2年計画の事業であり、本年度も継続的に調査を進める予定である。 またこれに加え、今年度は秋田の花岡事件、土崎空襲の取り組みについて、調査・研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクト、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」に関しては、その後の取り組みについて継続的に調査を進める予定である。 また秋田県関連では、申請者が勤務している秋田大学教育文化学部の「地理歴史科内容学」において、土崎空襲関連のフィールドワークを土崎空襲被爆市民会議の会員の方のご協力により実施する予定であり、学生も参加予定である。また、花岡事件に関しては、これまでアーカイブされてきたの証言的「語り」を一旦整理し、事件の全貌との関連を明らかにしていきたい。 また、研究成果の公開については、10月に静岡大学で開催予定の日本社会科教育学会第64回全国研究大会を中心に、成果をまとめたものを発表していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度をまたいでの調査を行ったため、昨年度分の残額と今年度分の予算を充てる予定であったため。 今年度初めの調査に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)