2013 Fiscal Year Research-status Report
間伐材・低質材等の木材資源を有効利用する造形用素材及び環境教育教材の開発
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24531183
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 耕史 群馬大学, 教育学部, 教授 (50556743)
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Keywords | 森林資源保全 / 木製共遊玩具 / 木材加工 / 歩留まり |
Research Abstract |
研究2年次は,主に以下の2つの課題に取り組んだ。 1 入手可能な木材を用いた彫刻制作・造形用素材開発 (1)研究1年次から取り組み始めた歩留まりを高くする木材の使い方を継続して試行した。即ち,入手した原木を自らチェンソーを用いて縦挽きし,その材を用いた構成による彫刻試作である。2年次は,板状にするだけでなく,柱状に切り出し,材の形体を変えることで,全体の構成に変化をもたせることができた。作品は「第87回国展」「中之条ビエンナーレ2013」「第8回群馬国展」「第5回次代を担う彫刻家たち展」「第14回現代の創造展」等で発表した。「中之条ビエンナーレ」出品作は,杉丸太から切り出した板状材を中心に構成。地元産出の原木を使用した。「現代の創造展」では,樟丸太から切り出した板状材に加え,柱状に切り出した材も併置した。展示場所に即した構成ができ,効果的な野外展示が可能になった。(2)板状材を多くの材に分割し表面を平滑にした上で規格を設け整理することで「積み木」のような木片を製作できるようになった。木材の有効利用を考える上で,木片を用いた造形活動素材(木製共遊玩具)は効果的であると考えられ,図画工作・美術科の授業で使用可能であると思われる。自動カンナ盤を導入し,より効率的に製作できるようになってきた。 2 森林資源運用の実際と保全事業視察 (1)群馬県みなかみ町における三菱UFJ環境財団主催の「水源の森」林業体験に参加し,森林資源保全作業の実際を経験し,木材だけでなく水源を生み出す森林の役割などを再確認した。(2)福島県南会津郡におけるオグラ・きこりの店主催の「伐倒製材見学会」に参加し,原木の伐採から製材までの過程を見学した。木材を無駄なく最上の状態で使おうとする従事者の配慮を感じた。これらの視察から,環境教育に資する知見を得ることができてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
森林資源保全の実際を見学し現場で体験することで,山林や木材の適正な管理の具体や有効利用のあり方など知見を得ることができた。また,彫刻制作を通し,原木からの材の取り方や構成のあり方などを試行することを継続し,効果を確認できたと共に作品発表の場も多くもて,世に問うことができた。さらに,木材を有効利用する造形用素材開発も具体的になってきた。以上の観点から,研究は概ね順調に進展しているととらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる3年次は,彫刻制作を継続するとともに,造形用素材(木製共遊玩具)の製作を進め,試作品完成と実際の教育現場での試行を実現させたい。本年度の未使用分の研究費も含め,木材加工用の機械(バンドソー等)を整え,試作していく。尚,当初は彫刻制作シンポジウムまたは公開制作などを計画していたが,作品制作よりむしろこの造形素材の試作と現場での授業等による試行を優先すべきと考えている。よって,シンポジウム等の代案として,地元産出の木材を使用する彫刻制作の授業やワークショップ,合宿等を実施したいと考えている。また,海外での森林資源保全や木材使用の実際についての多様な知見を得たいと考え,視察を計画したい。本年度は,これまでの研究成果を展覧会等における作品発表に加え,学会における口頭発表ならびに大学紀要等への投稿で発表していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年次に購入を計画したが「バンドソー」購入に不足して使用できなかった金額15万円が残ったため。 最終年度となる次年度には本年度残額に加え助成金をもとにして,以下の4項目について主に使用する計画である。(1)木材加工用の機械(バンドソー)等と木材の購入ならびに造形素材試作 (2)研究発表並びに視察に資する旅費 (3)研究成果の発表のための媒体作成費用 (4)彫刻制作授業・ワークショップなど制作発表の企画と実施 尚,これまで人件費にあてる出費がないが,本研究を進めるにあたり,具体的に必要とはならなかったためである。次年度も現時点では使用計画はない。
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