2013 Fiscal Year Research-status Report
障害のある子どものきょうだいとその家族のQOL支援プログラムの開発
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24531241
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 美穂子 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (70515907)
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Keywords | きょうだい支援 / ムーブメント教育 / QOL / 障害児の家族支援 / 子育て支援 |
Research Abstract |
1、きょうだいの子育て支援ニーズ調査:障害の重い子どものきょうだいに関する子育て支援ニーズを明らかにするため、平成19年~20年の全国重症心身障害児(者)兄弟姉妹支援等事業報告書から、きょうだいの作文約50編について内容を分析し、ニーズのカテゴリー化を図っている。現時点で最終考察までには至っていないが、24年度に実施した障害種を問わない調査結果と同様の心理的問題、地域や友人関係の問題、親子問題の関係に加え、特に幼少期には入院等に伴う孤独感の問題、青年期には、介護の担い手としての自己意識の問題がより重視される傾向にあると示唆される。 2、支援プログラム開発のための研究:イギリスとハンガリーにおいて、ムーブメント教育・療法と運動感覚統合プログラムを用いた障害のある子どものとその家族支援に関する資料を収集した。これらを参考に、昨年度まで開発してきたきょうだいと家族のための支援プログラムを障害の重い子どもに対応でき、きょうだいが積極的に関与できるものになるよう再検討した。 3、支援プログラムの実践と効果検討:上記1,2に基づき、重度重複障害児のきょうだいのための支援プログラムを開発した。プログラムはきょうだいと家族が一緒に参加できるように、①障害児ときょうだい、親がともに活動する家族ムーブメント活動、②それぞれのニーズに応じたグループ別活動、③きょうだいと親の関係性を深めるための親子ふれあい活動の3セクションから構成した。特に、きょうだいグループでは、24年度の研究で効果が確認できた「きょうだい紹介ブック」作成プログラムを組み込んだ。きょうだい支援セミナー「ジョイジョイクラブ」として企画し、富山県内の特別支援学校等で参加者を募集したところ、8家族から応募があり、全7セッションの実践を行った。実践後きょうだいと親に質問紙調査とインタビューにより効果測定を行い、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1 きょうだいの子育て支援ニーズについては、直接インタビューによる対象者を十分確保できなかったため、連携研究者と相談し、既出のきょうだい作文の分析に切り替えた。そのため、予定した以上の時間が必要となり、昨年度中にニーズに関する考察をまとめるまでに至らなかった。現在は、ニーズ内容を分析途中である。また、重症心身障害児(者)を守る会の協力を得て、改めて新規に富山県内で重度重複障害児の、特に成人きょうだいについて対象者を探索しているところである。 2 支援プログラム開発のための調査研究と、開発した支援プログラムの実践については、ほぼ当初の予定通り研究を進めることができているが、実践に基づく効果検討については、まだ途中の段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1、きょうだいの子育て支援ニーズ調査:上記で述べた重度重複障害児のきょうだいの作文内容に基づくニーズの分析をさらに推進する。また、成人きょうだいへのインタビュー結果をできる限り加えて考察する。 2、支援プログラム開発のための調査研究:昨年度までに主な調査を終えたが、さらに新しい視点として、病弱者のきょうだいに対する支援実践プログラムについても情報を収集し、開発したプログラムの適用性を高めるために役立てる。 3、支援プログラムの実践と効果検討:平成25年度に実践し、現在分析中の重度重複障害児のきょうだいのための支援プログラムの効果について、結果及び考察を行う。その後、平成24年度、25年度と2年間にわたり、実践に基づいて効果を検証した家族参加型きょうだい支援プログラムを地域で実践できるように整備し、学会や論文などを通して広く地域に発信する。平成24年度、25年度に引き続き、日本特殊教育学会第52回大会においても、本研究に基づくシンポジウムを開催し、研究成果を公開する予定である。また、7月にオーストリア・ウイーンで行われるIASSIDD Europe Regional Congressでの発表がすでに承認されている。 4、本年度は研究の最終年度となるため、研究成果を地域に還元できるように、研究発表だけでなく、地域における事業化を進めたいと考える。開発したきょうだい支援プログラムを長期的に実践できる場を大学内に開拓し、研究開発と実践の両方を行うことができる体制を整える。これについては、すでに、大学の地域貢献活動として、公開講座でのプログラム試行を行っているが、さらに、本年度より、対人支援職を目指す学生のための実践型授業に組み入れ、障害児の親の会である「手をつなぐ育成会」富山県支部とタイアップし、年間を通して対象者と支援者を確保し、地域と大学が連携するきょうだい支援体制整備に取り掛かったところである。
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Research Products
(5 results)