2013 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域における住民参加型の特別支援教育体制の有効性:心理-教育的支援を通じて
Project/Area Number |
24531258
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 健史 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (60583903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 竜作 北海道医療大学, 心理科学部, 准教授 (00411372)
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Keywords | 子育て / 支援 / 社会資源 / 視覚化 / 特別支援教育 / 過疎地域 |
Research Abstract |
初年度に作成した「子育てメンタルサポートマップ(試案)」(マップ)を使用し、発達性読み書き障害が疑われていた児童を観察・評価し具体的に支援した。平成25年度は、支援開始の3カ月後にその再評価を行った。当初の問題の根底は行動面にあり文字学習の問題は二次的なものであると考えた。そしてマップを用いることで、母親と家族を含めた地域の社会資源との関係を知ることが出来た。それにより母親と学校に対しては学習面以外の側面にも働きかける包括的で具体的な助言を行った。再評価では、文字学習の試験成績と学習意欲の向上がみられた。マップを描くことで、本人は社会資源とのつながりを視覚化することが出来、支援者は相談者の主観的なサポート感の鳥瞰図を得るとともに、利用可能な資源を探し、具体的な行動につなげることが出来ると考えられた。支援後にマップを再び描くことで、本人、支援者ともに支援環境の変化をとらえることが出来た。本研究の目的は1)住民や保護者へ心理-教育的支援を行い、地域住民の表に現れない障がい児に対するネガティブな理解が、それにより変化する過程を明らかにする(心理-教育的支援の有用性)、そして2)資源の少ない過疎地域にあった、地域で発達障がい児を支える包括的で持続可能な特別支援教育体制を作り、その効果と妥当性を検討することであった。支援の実施を阻害する心理的要因を明らかにするために3群、すなわちA群:担任教員や特別支援コーディネーター、B群:支援を受けている発達障がい児の保護者、C群:定型発達児の保護者および地域住民に分けて調査を想定していた。平成25年度のマップを用いた事例検討により、B群の「支援を阻害する心理的要因」を明らかにする方法を考えるに至った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的は1)住民や保護者へ心理-教育的支援を行い、地域住民の表に現れない障がい児に対するネガティブな理解が、それにより変化する過程を明らかにする(心理-教育的支援の有用性)、そして2)資源の少ない過疎地域にあった、地域で発達障がい児を支える包括的で持続可能な特別支援教育体制を作り、その効果と妥当性を検討することである。しかし、目的を達成するために、保護者に研究者と研究協力校の共同活動の意義を理解してもらうことにさらに時間を要している。また研究を進めるにあたり中心となる地元教員の人事異動なども重なり、連絡調整等に時間を要していることも研究の実施が遅れている要因の一つに挙げられる。そのため、広範囲なアンケート調査の実施ができておらず個別事例検討により方法を模索するにとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
B群に対してマップを使用した支援を積み重ねていくことが、支援を阻害する要因の解明を同時に行っていくことにつながり、さらに再評価により支援を阻害する要因への介入の効果が検討できるため、それを継続する。また、前年度からの目標であった、発達障がいに加えメディアコントロール教育を含めた学習会を実施し、その前後のアンケート調査により心理-教育的支援の効果測定を行う。その学習会の対象をB群C群とし、企画の段階から保護者会などの組織と協力し地域住民参加型の事業を展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き事例を積み重ねるため研究協力地域への旅費が必要なる。また、メディアコントロール教育を含めた学習会等の実施のため、新たにタブレット端末などが必要となり購入予定である。さらに研究成果発表のため、国内旅費の配分を増額した。 平成26年度の直接経費は658,233円を予定している。内訳については以下の通り。 1.旅 費:300,000円 2.物品費:150,000円 3.謝 金:100,000円 4.その他:108,233円
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Research Products
(1 results)