2012 Fiscal Year Research-status Report
被覆代数曲線と曲面上の代数曲線から見たフルヴィッツの問題
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24540057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
米田 二良 神奈川工科大学, 基礎・教養教育センター, 教授 (90162065)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 平面曲線 / 2重被覆 / ワイエルシュトラス半群 / K3曲面 / 数値半群 / トーリック曲面 / アフィントーリック多様体 |
Research Abstract |
1.海外共同研究者と「平面曲線の2重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群」についての共同研究を実施し、平面曲線の次数が5で2重被覆の種数が十分大きい場合に論文を執筆中である。次数が4の場合には結果を得ているがこの場合と異なった現象が起こる。また、次数が6以上の場合も5と同じようなことが起こることも分かった。 研究協力者との共同研究で「4次平面曲線の種数8以下の2重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群」の問題を完全に解決した。現在、論文を書く方向で検討中である。これで、4次平面曲線の2重被覆の問題は終わった。別の研究協力者と「平面曲線の2重被覆でK3曲面にのっている場合の分岐点のワイエルシュトラス半群」の共同研究を実施し、分岐点の像の接線の接触度が高い場合に結果を得て、現在論文の準備中である。これは平面曲線の2重被覆が、K3曲面から射影平面の2重被覆に伸びるための十分条件も与えていて、興味深い。 2.ワイエルシュトラス半群の種数を1下げた数値半群の性質を2重被覆の考え方を使って調べた。これはフルヴィッツの問題を解決するのに本質的な役割を果たすと思われる。特にその数値半群の列がワイエルシュトラス半群の列になる場合についての結果を代数幾何ミニ研究集会で発表し、論文としてまとめる予定である。 3.研究協力者とは、トーリック曲面上の曲線が射影直線上の巡回被覆になるための条件を考え、組み合わせ的な問題に帰着させている。さらに共同研究で射影直線の被覆が巡回被覆になるための十分条件をこの被覆を決めている線形系と分岐点のワイエルシュトラス半群で与えることを考えている。この条件を満たさないとき、興味深い現象が現れることがわかる。 4.アフィントーリック多様体とワイエルシュトラス半群との関係について、アフィン代数幾何学研究集会で講演した。2次元以下のアフィントーリック多様体との関係で結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代数曲線の2重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群については、d次平面曲線の場合について多くの結果を得ている。特に、これらを適用すると5次平面曲線の場合については分岐点の接線の接触度が5,4の場合には完全な結果を得、3の場合にも興味深いことが分かった。また、あるワイエルシュトラス半群を持つ代数曲線を固定し、その上の2重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群としてどのようなものが現れるかについて、結果を得ていて、今後これらを統一的にわかりやすくまとめていきたい。このことはフルヴィッツの問題と密接な関係がある。さらに、ワイエルシュトラス半群から種数を1ずつ下げていったときのワイエルシュトラス半群の列について、最初のワイエルシュトラス半群が一般の場合と特別な場合に結果を得た。これはフルヴィッツの問題の解決に貢献すると思う。この分野は順調である。 3次巡回被覆については、これから研究態勢に入りたいと思うが、射影直線のd次巡回被覆についてのワイエルシュトラス半群については線形系と絡めて共同研究が進んでいる。射影直線でない代数曲線の3次巡回被覆についてはこれからで、遅れていると思う。 K3曲面上の曲線がd次平面曲線の2重被覆になっている場合で分岐点の像である平面曲線の点の接線との接触度がdまたはd-1の場合に分岐点のワイエルシュトラス半群についての結果を共同研究で得た。また、この逆のことも証明できて、当初の計画以上に進展していると思われる。 トーリック曲面上の曲線については、その曲線が射影直線の巡回被覆になる場合の分岐点のワイエルシュトラス半群について共同研究を進めていて、組み合わせ的な問題が解決できればこの問題の解決への大きな進展になることが分かっている。トーリック曲面上の曲線が2重被覆になる場合のワイエルシュトラス半群の研究はこれから始める予定でいるので、このことに関しては遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平面曲線の2重被覆のワイエルシュトラス半群の論文とワイエルシュトラス半群の種数を1下げた数値半群の列がすべてワイエルシュトラス半群になる場合についての論文を海外の雑誌に投稿する。 ワイエルシュトラス半群の種数を1下げても、またワイエルシュトラス半群になるかという問題にアタックする。この場合、2重被覆との関係で調べたとき、下の数値半群の種数が1下がるところが重要で、ここに焦点をあてて研究する。 研究協力者と共同研究で得たK3曲面上の曲線がd次平面曲線の2重被覆になっている場合で分岐点の像である平面曲線の点の接線との接触度がdまたはd-1の場合に分岐点のワイエルシュトラス半群についての結果の論文を投稿する。また、接触度がd-1の場合に解けてない場合があるので、その場合を考える。別の研究協力者とは、種数3の2重被覆でその種数が8以下の場合に分岐点のワイエルシュトラス半群を決定したのでその論文を投稿する。また、種数が4の場合についても同様の問題を考える。この場合は2重被覆の種数は11以下である。さらに別の研究協力者とは、トーリック曲面の曲線が2重被覆になっている場合の分岐点のワイエルシュトラス半群の研究をする。また、射影直線の被覆についても共同研究する。さらに別の共同研究である線形系と射影直線の巡回被覆の関係についても研究を進める。 海外共同研究者は12月までアメリカ・ミネソタ州に滞在中なのでミネソタに行き、平面曲線の2重被覆について共同研究する。3月には海外共同研究者の大学(韓国)に行き、引き続き共同研究する。 12月に連携研究者と代数曲線論シンポジウムを主催する。数名の海外の研究者を招聘する。この中にワイエルシュトラス半群の研究をしている人がいるので、議論する積もりでいる。 ワイエルシュトラスでない数値半群の数値半群全体の中での割合を、Buchweitzタイプでないものについて調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外共同研究者はサバティカルのため、今年の1月から12月までアメリカのミネソタ州立大学に滞在中である。そのため、昨年度は3月に予定していた海外共同研究者の大学(韓国)を訪問する件を取りやめた。その旅費の分に相当するのが142,608円で、これを8月から9月にかけてのミネソタ州立大学訪問の旅費の一部に充てる予定でいる。ミネソタ州立大学では海外共同研究者と共同研究をする。また、この時期に代数曲線に関連するシンポジウムをミネソタで開催の予定で、ここで、「ワイエルシュトラス半群の種数を1下げても、またワイエルシュトラス半群になるか」という問題に関する講演をする。
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Research Products
(7 results)