2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540063
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
井ノ口 順一 山形大学, 理学部, 教授 (40309886)
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Keywords | 曲面 / 曲線 / ループ群 / スピン幾何 / 接触幾何 / ハイゼンベルグ群 / リー群 / 磁場 |
Research Abstract |
1. 前年度に得た3次元ハイゼンベルグ群内の極小曲面に対する「ループ群論的構成法」を用いて回転対称性をもつ極小曲面を構成した(Josef Dorfmeister氏, 小林真平氏との共同研究)。 2. リーマン面で定義され, 両側不変計量を備えたコンパクト半単純リー群に値をもつ調和写像は, UhlenbeckとSegalによるループ群を用いた詳細な理論が構築されている。像空間をアフィン接続を備えた多様体に拡げても調和写像の微分方程式は意味をもつ。この観察と実績1の研究成果に立脚し, リーマン面から不変アフィン接続を備えた(一般の)リー群への調和写像に対し, ループ群論的構成法を一般化することを考察した。その結果, リー群に中立接続とよばれる両側不変接続を与えた場合, 調和写像方程式は零曲率表示をみたし, ループ群論的構成法を与えられることを示すことができた(Josef Dorfmeister氏, 小林真平氏との共同研究)。 3. 前年度に引き続き, 3次元佐々木空間形内の特徴的な曲線の研究を行った。 古典的な静磁場に関する荷電粒子の運動は, 一般のリーマン多様体に自然に拡張できる。測地線の方程式に磁場の作用を受けた項が添加されたものとして、荷電粒子の軌道方程式が導かれる。Marian Ioan Munteanu氏との共同研究で3次元ベルジェ球面内の標準的接触構造から自然に定まる磁場に対し, 閉軌道の分類を行った。また3次元正規概接触多様体における定傾曲線(slant curve)についてJi-Eun Lee氏と共同研究を行った。 4. 測地線は定義域が1次元の場合の調和写像であるため, 実績3で考察した荷電粒子の軌道方程式を一般次元のリーマン多様体を定義域とする写像に対して拡張することが考えられる。Munteanu氏との共同研究で, ベクトル場を指定したリーマン多様体からリーマン多様体への写像に対し, 磁場項をもつ調和写像(magnetic map)の概念を導入しその偏微分方程式を導いた。さらに基本的な具体例を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は前年度に得た「3次元ハイゼンベルグ群の極小曲面に対するループ群論的構成法」を用いて、回転対称性をもつ曲面の構成を行った。ハイゼンベルグ群は定曲率空間でないため, 具体例の構成が難しい。これまでに得られている回転対称性をもつ曲面(螺旋面・カテノイド型曲面)に同伴する極小曲面の1径数族を得ることができた。この族はいままでに得られていない新しい例を与えている。ハイゼンベルグ群の極小曲面については順調に研究が進展したと評価できる。 3次元双曲空間の定曲率曲面は、球面と異なり可解リー群の構造をもつ。この点に着目し、可解リー群を含む一般のリー群に値をもつ調和写像の構成を考察した。一般のリー群の場合、調和写像方程式は零曲率表示をみたさないためループ群論を適用することができない。ハイゼンベルグ群に対する研究成果を接続の幾何の観点から検討し、一般のリー群において、中立接続とよばれる不変接続を用いて定義される調和写像(アフィン調和写像)は零曲率表示をみたすことを発見し、ループ群論的構成法を与えることに成功した。この成果は双曲空間の定曲率曲面の構成について大きな研究指針を与え、その他の幾何学的問題への応用を期待させる。順調に研究が進んでいると評価できる。 これらの主目的に加え、「他の幾何学的問題への応用」として、接触幾何学における曲線に対する研究成果(3次元ベルジェ球内の磁場の閉軌道)や磁場の方程式の一般化(磁場写像)に関する研究成果が得られ、総合的に「おおむね順調」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今年度の「ハイゼンベルグ群内の極小曲面の構成」および「可解リー群に値をもつアフィン調和写像」の研究成果に立脚し、3次元双曲空間(可解リー群とみなす)内のガウス曲率一定曲面のループ群論的構成法の確立をめざす。 2. 「可解リー群に値をもつアフィン調和写像」のループ群論的構成を用いて、アフィン調和写像の新たな具体例を構成する。 3. 前年度に引き続き、24年度および25年度に得た3種類の「ループ群論的構成法」の証明方法・証明の過程で得た研究成果を、種々の観点から検討し、他の幾何学的問題(等積アフィン幾何等)への応用を考察する。また3次元等質リーマン多様体内の曲線・曲面についても今年度の成果をもとに接触幾何・スピン幾何の観点から検討する。 研究の進展・競合する海外の研究者の研究成果発表・研究動向に応じて、研究順序などの適時修正を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 曲面の可積分幾何2014
Author(s)
井ノ口順一
Organizer
第9回 代数・解析・幾何学セミナー
Place of Presentation
鹿児島大学
Year and Date
20140219-20140219
Invited
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