2012 Fiscal Year Research-status Report
複素多様体の一意化、双曲性、およびネヴァンリンナ理論の研究
Project/Area Number |
24540069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山ノ井 克俊 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40335295)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高次元Nevanlinna理論 |
Research Abstract |
今年度は、アーベル多様体への整正則曲線(複素平面かの非自明な正則写像)に対する第二主要定理を、整正則曲線が代数退化する場合を含めて、除外集合付で証明した。これにより、値域がアルバネーゼ次元が最大で一般型の複素射影代数多様体に対してはGreen-Griffiths予想を除外集合付きで証明したことになる。その除外集合は、Langによって導入された特殊集合、すなわちアーベル多様体からの非自明な有理写像の像の合併集合のザリスキー閉包とほぼ等しいことがわかる。尚、ここで「ほぼ」と書いたのは、実際には除外集合の中には、アルバネーゼ写像によってつぶされてしまうような代数的集合が含まれてしまうからである。したがって、アルバネーゼ写像によってつぶされてしまう代数的集合は実は特殊集合に含まれるのではないか、という疑問が当然起こる。これについては今後の研究課題である。また、特殊集合の各点に対しては、その点を通る整正則曲線が存在することから、特に、アルバネーゼ次元が最大で一般型の複素射影代数多様体に対しては特殊集合は真部分代数的集合であることがわかる。これにより、一般型多様体の中の一般型でない部分多様体の全体は、ある次元の低い部分多様体を形成する、というLang予想をアルバネーゼ次元が最大の場合に証明したことになる。これは2次元の場合に2010年にS.Luによって証明されていたが、一般次元の場合は未解決であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画の目標の一つは、アーベル多様体の中の必ずしもザリスキー位相で稠密でない整正則曲線に対して第二主要定理を除外集合付きで確立するこであった。また、その成果を一般型多様体の中の一般型でない部分多様体の全体は、ある次元の低い部分多様体を形成する、というLang予想に対して、アルバネーゼ次元が最大の場合に適用して解決することも一つの目標としていた。今年度はそれらを達成できたので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、24年度に得られた研究成果を引き継ぎ、アーベル多様体をターゲットとする除外集合つきの第二主要定理を、正則曲線の定義域を複素平面からその有限次分岐被覆に拡張させる形で、それを発展させることを目指す。また、可能であれば、単位円盤からアーベル多様体への正則曲線について第二主要定理型の評価式を研究したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に文房具の購入を計画していたが、計画を変更し文房具購入を次年度にまわしたため残額105円が発生した。発生した残額は、ボールペンを購入する原資とする。 またH25年度の物品費としては主に、本研究課題に関連する図書の購入や、ソフトウエアの購入を考えている。また、旅費としては、数回の国内外の出張を行う。特に、申請者は今年度、韓国で開催されるThe Asian Mathematical Conference 2013のAnalysis部門において、招待講演を行うことになっている。この会議は、アジア各国の数学者が広く集まる国際研究集会であり、そこに出席して講演することは本研究を推進するうえにおいても重要である。そのための旅費を本研究費から支出する予定である。
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