2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540073
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
久村 裕憲 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 部分多様体 / ラプラシアン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、リーマン部分多様体 M とそれを取り巻くリーマン多様体 N の間の解析的性質を関係を研究することである。曲率、単射半径、平均曲率、像の何らかの意味での有界性等、様々な幾何学的条とM と N の解析構造とは密接に関係する。この様な問題の一つとして、Calabi は1965年に、ユークリッド空間の完備極小超曲面は非有界であるか、という予想(問題)を提示した。そして、Nadirashvili は、1996年に、3次元ユークリッド空間の単位球内への極小ディスクの完備挿入を構成し、この Calabi 予想の反例を示した。また、Lopez-Martin-Morales らによって、ディスクは、円環領域やハンドルを付けたものに一般化された。これらの例は、トポロジカルには簡明であるが、リーマン幾何の立場からは、非常に複雑である。例えば、Yau は、「これらの曲面の幾何は何か?それらは埋め込み可能か?これらの曲面のエンドの近くでの正確な漸近挙動を得ることは大事である。この曲面のラプラシアンの固有値は離散的か?」という問いを提出している。埋め込み可能性については、Colding-Minicozzi II によって否定されたが、固有値は離散的かという問いが残っている。26年度は、Nadirashvili 例(またはその一般化)の解析的性質について考察した。この離散的か否かという問い自体に答えることは出来なかったが、固有値のボトムの下からの評価を得ることが出来た。特に、これらの曲面は確率的に完備であることが分かる。また、この問題とは別に Reilly による`平均曲率の平均'を用いた部分多様体のラプラシアンの最小固有値の評価を弱い意味ではあるが一般化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nadirashvili の例や平均曲率一定部分多様体を考え、その解析的性質や安定性の問題などを考えたい訳である。例えば、リーマン対称空間内の部分多様体を考えることは、単なる例を超えて重要と思われる。現在、このような空間の例について勉強中であり、それにやや時間を取られている。
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Strategy for Future Research Activity |
極小部分多様体や平均曲率一定部分多様体を考えることは、物理的な観点からも重要である。これらの部分多様体に対し、様々な解析的性質を研究したい。
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Causes of Carryover |
対称空間内における一般的な部分多様体を考察の対象としたい訳であるが、ランクが2以上の対称空間について勉強中であり、研究を継続したいと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対称空間・極小部分多様体・平均曲率一定部分多様体についての関連書籍・論文の入手、研究集会や招へいによる研究者との情報交換を行いたい。また、研究集会での成果の発表を行いたい。
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