2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540075
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
足立 俊明 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60191855)
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Keywords | ケーラー磁場 / 円 / 佐々木磁場 / 複素双曲空間 / A型実超曲面 / 軌道の外的形状 / 葉層構造 |
Research Abstract |
前年度に引き続きケーラー多様体上の曲線とその超曲面における概接触構造から誘導される佐々木磁場の軌道との関係の考察を行った。複素射影空間における円と測地球面における佐々木磁場の軌道との関連を前年度考察したことに対応して、複素双曲空間の円と複素空間内のA1型実超曲面である測地球面・ホロ球面・複素超曲面のチューブにおける佐々木磁場の軌道との関連を調べた。 複素双曲空間の円はすべてこれらのA1型実超曲面上の佐々木磁場の軌道の外的形状になっていて、有界な円に対応するのは測地球面上の1種の軌道と複素超曲面のチューブ上の2種の軌道、ただ1つの無限遠点を持つ非有界な円に対応するのはホロ球面と複素超曲面のチューブ上の軌道それぞれ1種、無限遠点を2つ持つ非有界な円に対応するのは複素超曲面のチューブ上の軌道ただ1種という結論を得た。複素射影空間の円はすべて測地球面上の佐々木磁場の軌道の外的形状になっていて、1つの円に対して3種類の軌道が対応していたことを考えると、おもしろい対比になっていることがわかる。 この考察の応用として、複素双曲空間の円がなす曲率と複素捩率によるモジュライ空間では、長さ関数がなめらかになる葉からは特異点がある葉層構造が構成されたが、軌道の外的形状という観点で、磁力と構造捩率を基にしたモジュライ空間では,特異点が解消された葉層構造の形になることがわかり、円というよりも軌道の外的形状と考える方がよいであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複素空間形の円について、曲率と複素捩率の観点から見ると閉性や長さについてケーラー磁場の軌道である複素捩率が±1の円だけ特殊な挙動を示すことがわかっていた。実空間形の場合ではこのような現象は起こらないため、この違いを表現する何らかの説明が必要であると考えていた。実空間形の一つである球面はユークリッド空間の中に埋め込まれ球面上の測地線がユークリッド空間では円に見えることから同様な説明が可能ではないかと考えた。 複素空間形内の代表的な部分多様体はA1型実超曲面であり、その上の良い曲線族は佐々木磁場の軌道であると考え、これらの曲線を外側の空間から眺めてみると円をカバーし,軌道族を磁力と構造捩率の観点から見て円をとらえると,特殊な挙動を示すものが存在しないことがわかった。このような見方は研究者独自のもので、まだ他の研究者の賛意を得られているとは言いがたいが、古典的なフレネ・セレーの公式とは別の観点で磁場の重要性を示すものであると研究者は考えている。 これらの結果については、招待を受けた2つの国際研究集会「トポロジーと幾何学における国際研究集会2013(松江)、「ディリマン数学国際研究会2013」(マニラ)、および国内の研究会の機会で口頭公表を行った。また、考察の一部をグラスゴー数学雑誌をはじめとする国内外の研究雑誌で論文発表を行い、更に現在今年度の成果の一部を別の学術雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
軌道と測地球面との関係を考察する。これまでの研究で軌道球の体積密度関数の評価が得られているが、軌道球が測地球のように凸集合であるか否かがわかってはいない。この性質は磁性指数写像の単射性と深く関わっていて軌道球面の極限として得られるであろうホロ軌道球面の存在を考えるために重要である。しかし、複素構造の場所による変動を考察する必要がありその考察にはかなり困難が予想される。 そこでまず複素1次元、すなわち実曲面の場合を扱うことにする。実曲面は2次元であるためにケーラー磁場だけではなくすべての2次形式を磁場として扱うことができる。体積要素の関数倍であるこれらの磁場の中で、関数の符号が変化しないものの軌道はケーラー磁場の軌道と似た振る舞いをすると考えられる。この考察を行うために、曲面の磁場の軌道に対して変分を考え、対応する磁性ヤコビ場の指数形式を定義して曲率条件の下での比較定理を用意する。この性質を用いて磁性共役値の評価を与える。このあたりまではケーラー磁場に関する考察手法をある程度適用可能であると考えている。 定符号を持つ曲面の磁場の軌道球の凸性を調べるために、測地線とその始点と各点とを結ぶ軌道族が作る2次元構造を考察する。曲面自身が2次元であるために軌道ハープの比較定理などで行った手法が適用できるであろうと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
5月に本務校の学術交流協定校であるベリコ・タルナボ大学(ブルガリア)の大学制50周年記念行事に招待されて10日間出張したため、講義のやりくりがつかずに国内での研究集会参加を断念したため。 コンピュータのOSをwindows XP から 7 に変更したことに伴って利用できなくなった研究に必要な図形ソフトを購入する。
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Research Products
(8 results)