2015 Fiscal Year Research-status Report
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24540075
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
足立 俊明 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60191855)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケーラー磁場 / 軌道ハープ / 軌道ホルン / 理想境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケーラー磁場による軌道と測地線との関係を明らかにするために、測地線とその始点と各点とを結ぶケーラー磁場による軌道族とで構成される軌道ホルンについて考察を行った。 まず、前年度までに行った軌道ハープに関する比較定理を利用することで、測地線分の長さを与えたときの軌道の長さである軌道ホルンのチューブの長さと、軌道の接ベクトルと測地線の接ベクトルとが成すチューブ角に関する評価を与えた。次に、磁性ヤコビ場の比較定理を利用することで軌道ホルンを構成する2つの軌道の初期速度ベクトルの角の評価を与え、特にアダマールケーラー多様体上の軌道ホルンの場合には極限軌道が存在してその軌道に収束することを示し、更にこの極限軌道と測地線との距離とが一様に有界であることを証明した。 軌道ホルンの考察と前年度までの軌道ハープの考察とを合わせることで、アダマールケーラー多様体において断面曲率が c 以下である場合に、磁力が |c| の平方根以下であれば多様体上の点と理想境界上の点とを結ぶ軌道が存在し、磁力が |c| の平方根より小さい場合はこのような軌道はただ1つであることを示した。更に、磁力が |c| の平方根より小さい場合では、理想境界の異なる2点を結ぶ軌道が存在することも証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの準備の基に、新たに軌道ホルンの概念を導入して考察を進めることでアダマールケーラー多様体におけるケーラー磁場の軌道の漸近k的挙動を正確に表現することができ、当初の計画の主要部分の考察を成し遂げることができた。しかし、多様体の断面曲率が c 以下という条件の下で磁力がちょうど |c| の平方根である場合には軌道ホルンの比較定理における評価が甘く、当初予想していた結論(多様体上の点取り総境界上の点とを結ぶ軌道の一意性)がこの場合にのみ得られてはいない。 なお、本結果に関しては学術雑誌に投稿し掲載が許可されている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予想した結論の中で曲率が c 以下という条件の下で磁力がちょうど |c| の平方根である場合の軌道の一意性が残されているが、結論が成立するか否かの限界部分であり現時点では反例が存在するのか成立するのか単純ではないことがこれまでの考察で明らかになった。このため、この部分は残念ながら今後の課題として残すことにして、これまでの内容で成果をまとめることとする。今年度は成果を国際研究集会で発表するために期間を延長したので、4月にモロッコで開催される国際研究集会で今回の研究で得られた成果を発表する。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表を当初は国内の研究集会で行う計画を立てていたが、平成28年4月にモロッコで幾何学国際研究集会が開催されるとの情報を平成27年の夏に入手した。より国際的な場で公表すると共に次の研究のために海外の研究者の評価も受けたいと考え、同研究会で研究発表を行うことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年4月11日~15日に開催される国際研究集会(1st International Conference on DFifferential Geometry, Fez)に参加し研究成果の発表を行う。
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Research Products
(7 results)