2015 Fiscal Year Research-status Report
高分子のトポロジーへの応用を目指す結び目の局所変形の研究
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24540089
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金信 泰造 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00152819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 明夫 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00112524)
田山 育男 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 研究員 (00382036)
森内 博正 近畿大学, 医学部, 講師 (20453128)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結び目 / 絡み目 / 整合的バンド手術 / 交差交換 / ジョーンズ多項式 / 交差交換距離 / 整合的バンド距離 / 絡み目解消数 |
Outline of Annual Research Achievements |
次の3種類の結び目,絡み目の局所変形について研究をおこなった.1.整合的バンド手術.2.結び目の非整合的バンド手術であるH(2)移動.3.交差交換.それぞれの局所変形により与えられた2つの結び目,絡み目は移り合うことが知られている.そのための最小回数を結び目,絡み目間の距離と定義して,小さい交点数の結び目,絡み目間の距離を求めることが具体的な問題となる.これらの距離についてはすでにいくつかの表が発表されている. 2015年度の研究は以下のとおりである. 1. 7交点までの結び目と2成分絡み目の間の整合的バンド距離の表を作成し,その表を検証した.距離が1か2か決定できていなかった組について,多項式不変量を利用して精査することにより,いくつかの組について,距離が1と判明した. 2. 中西は結び目解消数が1の結び目から交差交換で得られる結び目のアレキサンダー不変量の研究をおこなっている.これを応用して,結び目解消数が1の結び目からバンド手術で得られる結び目,絡み目の行列式の条件を得た.この条件とこれまでの結果を利用して,2011年の論文にあるH(2)距離の表を改良した.これには,Zekovic のH(2)距離が1の結び目の表の情報も含まれる. 3. 10交点までの素な結び目と11交点の交代結び目のH(2)結び目解消数の表を作成に着手した.これまでの多項式不変量の特殊値等の結果と上記の中西の研究結果を利用した結び目の行列式によるH(2)結び目解消数1の結び目の条件を適用して,下からの評価をおこなった.また, Zekovic のH(2)結び目解消数が1の表も照らし合わせている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では,7交点までの結び目と2成分絡み目の間の整合的バンド距離の表を作成し,その結果をまとめる予定であった.その課程において,整合的バンド距離が1か2か決定できない組について多項式不変量を用いて精査すると,1になる場合が2,3発見された.この結果を反映させた論文を2015年度後半に執筆する予定であったが,予想外の個人的な問題が発生し,この部分では遅れが出た.また,2成分絡み目の間の整合的バンド距離の表の作成を開始する計画であったが,これも未着手である. しかしながら,研究実績の概要で述べたように,中西の定理を利用した方法により,バンド手術について若干の進展がみられた.これにより,H(2)距離に焦点をあてた論文を執筆することができた.以上により,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
7交点までの結び目と2成分絡み目の間の整合的バンド距離の表を作成し,その論文を完成させる.また,2成分絡み目の間の整合的バンド距離の表の作成にも着手したい. このように,バンド手術の研究や,また,2014年度に開始した絡み目の交差交換の研究をおこなっていると,やはり,結び目の交差交換距離の表を整備する必要を感じた.Darcy,および,Moonの8交点までの結び目と9交点,10交点の2本橋結び目,または,その2本橋結び目の合成に対して交差交換距離の表が公開されている.したがって,この研究でおこなってきた多項式不変量の特殊値を用いた方法を10交点までの結び目に適用して交差交換距離の表を整備したい.てはじめに,8交点までの表に着手したいと考える.
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Causes of Carryover |
2016年1月の研究代表者の入院,および,2015年11月以降の研究代表者の身内の入院による研究の遅延による.具体的には,当初予定していた研究集会への参加ができなかったことにより,計画通りに予算をつかうことができなかったことが理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
おもに,研究集会に参加することに使用する予定である.また,消耗品等の購入.パソコン,および,周辺機器の予期せぬトラブルに対処することに使用することも想定している.
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