2015 Fiscal Year Research-status Report
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24540091
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 睦 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (80182426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 幸右衛門 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40151691)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | representation theory / fibered category |
Outline of Annual Research Achievements |
位相群関手の表現論を定式化するために,ファイバー圏に関する基礎的研究に取り組み,以下の成果が得られた. ・次数付き位相環の圏から位相空間への圏への関手全体のなす圏をTとすれば,Tの各対象Fに対してF-modelの圏から位相的加群への関手としてF-加群の概念が定義される.Tの各対象Fの上にF-加群全体のなす圏が「乗っている」圏として,T上のファイバー圏 p:MOD→T が定義されるが,Kan拡張(Kan extension)の概念を用いることによって,このファイバー圏が双ファイバー圏(bifibered category)になることを示した. ・有限積を持つ一般の圏Tの群対象Gの表現はT上のファイバー圏の概念を用いて定義されるが,cartesian closed category の概念をファイバー圏の概念に拡張する"cartesian closed fibered category"と呼ばれるファイバー圏の概念を定義し,そのファイバー圏では,表現の構造を忘れる忘却関手の右随伴関手としてGの正則表現が構成されることを示した. ・上記の圏Tの群対象Gと,上記のT上のファイバー圏 p:MOD→Tを考え,Tの終対象上のMODの対象全体からなるMODの部分圏をMOD_1で表す.MOD_1の対象M上のGの表現の不動点のなすMの部分加群を定義し,Gの表現に対して,その不動点のなす加群を対応させることによって,Gの表現の圏からMOD_1への関手を構成した.さらにその関手が,MOD_1の対象に対して,その対象上のGの自明な表現を対応させる関手の右随伴関手であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究ではファイバー圏を表現論を行う場として活用するであるファイバー圏の基礎的な理論について,検証すべき必要な事実が多数存在し,それらの検証や証明に膨大な計算や推論を重ねたため,当初予想していた以上に時間と労力を要した. また,昨年度以前に行った cartesian closed である圏における群作用についての研究から"cartesian closed fibered category"という新しい概念の着想に至ったが,その概念の具体例について検討を重ねるなど,"cartesian closed fibered category"の定義の妥当性について,時間をかけて慎重に吟味する必要があった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度の研究で着想を得た"cartesian closed fibered category"について必要な理論を引き続き整備し,この枠組みで誘導表現の構成を試みる. 2.研究実績の概要で述べたファイバー圏 p:MOD→T が"cartesian closed fibered category"であることを検証した上で,次数付き位相環で表現可能な関手全体からなるTの部分圏Sにファイバー圏 p:MOD→Tを制限したものを p':MOD'→Sとし,さらに準連接加群からなる MOD'の充満部分圏を QMOD に制限したファイバー圏 q:QMOD→S をとしたとき,このファイバー圏も"cartesian closed fibered category"であるかどうかについて調べる.もしそうでなければ,Sの適切な部分圏 S で',S’ 上に q:QMOD→S を制限すれば"cartesian closed fibered category"になるものを見出す. 3.G が位相環で表現可能なアファイン群スキーム,H が G の部分群スキームで f:H→G が包含射,M が準連接加群の場合に H の M 上の表現から G の誘導表現を得るプロセスを,G と H を表現する位相ホップ代数と M の情報を用いて記述することを試みる. 4. G を表現する位相ホップ代数 A に,G の「非安定表現」を定義するフィルトレイションが定義されているとき,H を表現する位相ホップ代数にも G のフィルトレイションに対応するフィルトレイションが定まり,H の非安定表現が定義できる.このとき H の非安定表現から誘導される G の表現を調べ,H の非安定表現から誘導される G の非安定表現について考察する.
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Causes of Carryover |
当初は夏期休暇中に他の研究者との研究連絡のため他大学を訪問することを計画していたが,演習書の執筆等の用務で多忙であったため,旅費による予算の執行が困難であった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究のための情報収集や研究成果の講演のため,他大学を訪れることによって20~30万円程度を旅費として執行する計画である. 参加を予定している今秋に広島で行われる研究集会に,数名の研究者に合計30万円程度の旅費の補助を行って招聘し,講演を依頼する計画がある.
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Remarks |
本研究の研究ノートのPDFファイルは上記(1)のURLのページのリンク http://www.las.osakafu-u.ac.jp/~yamaguti/archives/rsg_main.pdf からダウンロードできます.
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