2014 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導におけるBCSギャップ方程式の解の温度依存性の解明
Project/Area Number |
24540112
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 秀司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90222405)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 三郎 群馬大学, 名誉教授 (10110397)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 超伝導のBCSモデル / BCSギャップ方程式 / 解の温度依存性 / 不動点定理 / リプシッツ連続 / 単調減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導のBCSモデルにおいて、その基盤となるものがBCSギャップ方程式である。BCSギャップ方程式の解の温度についての連続性や滑らかさなどの性質を数学的に明らかにすることはBCSモデルが登場して50年以上経ても未解決であった。物理学では、上記のようになるものと期待だけはされていたが、誰も数学的な証明を与えた者は一人も存在しなかった。 ポテンシャルが定数の場合でも困難であったが、陰関数定理を応用して私は、ポテンシャルが定数の場合において解の温度についての連続性、単調減少性や滑らかさなどの性質を数学的に明らかにした。このようにして、BCSモデルが登場して50年以上経て漸く未解決であった解の温度依存性に私が初めて数学的な証明を与えた。 この成果に立脚して、今度はポテンシャルがエネルギーの関数となっている場合を調べた。BCSギャップ方程式から定まる非線形積分作用素を、ある種のバナハ空間の、ある部分集合の上で定義し、この作用素に対してシャウダーやバナハの不動点定理を応用した。こうすることによって、BCSギャップ方程式の解の温度に関するリプシッツ連続や単調減少性などを、絶対零度から転移温度のおよそ半分の温度までの範囲で数学的に証明した。この成果を論文として纏め、現在は投稿中である。 アメリカやヨーロッパにおいて行われた、この方面における数学的な先行研究では、解の温度に関する性質は数学的な困難さ故に全く調べられていなかったので、この意味で、私の研究成果は画期的であり、極めて重要であると同時に、極めて独創的である。
|