2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉信 康夫 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (90281063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 数学基礎論 / 公理的集合論 / 強制法 / 集合論的位相空間論 / 強制公理 / バナッハ・マズア型ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的に述べたテーマのうち, (A)「強制公理を保存する半順序集合のクラスの研究」に関しては, 前年度までの研究で得られていた, 固有強制公理(PFA)を保存する半順序集合の2つのクラス(作戦的閉と*戦術的閉)が互いに他方を含まないことの証明を再検討して簡略化を行い, これらの成果を論文としてまとめ, 査読誌に投稿した. さらに, 前年度にケーニヒとの共同研究で得た結果である, SCP-e 列と呼ばれる組合せ的命題を強制法により自然に付加することによる強制公理の部分的な保存について, 同様の結果をより広い強制法のクラスに拡張するための着想を得, 現在詳細を検討している. 一方, テーマ(B)「位相空間の諸性質の強制法のもとでの保存についての研究」に関連して, T1分離公理をみたすコンパクト空間で, 固有性をもつ半順序集合による強制拡大で実数が付加されている任意のものにおいて, コンパクト性よりはるかに弱い性質であるメタコンパクト性さえもが失われるような例を見つけた. これは, メタコンパクト性がコーエン実数の付加によって保たれるか?という岩佐の問いに対する否定的解答であると同時に, T2分離公理をみたすパラコンパクト(これはメタコンパクト性よりはやや強い性質である)空間であればコーエン実数の付加によってその性質が保たれるという Grumberg-Junqueira-Tall の結果とも好対照をなし, 同結果においてT2分離公理が本質的な役割を果たしていたことを明らかにするものである. この結果により, 岩佐の問題については, T2分離公理をみたすメタコンパクト空間の保存性が, より核心的な問題であることが浮き彫りとなり, この問題がこのテーマにおける今後の研究課題となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ(A)「強制公理を保存する半順序集合のクラスの研究」は前年度まで当初の予想を上回るペースで研究が進んできた. 本年度は新しい定理の発見こそなかったが, 本テーマにおけるこれまでの成果を振り返り, 今後の発展の方向を探るフェーズにあり, ここまでの成果を論文にまとめて投稿したり, 成果の拡張につながる着想を得るなど, 研究は着実に進行している. 一方, テーマ(B)「位相空間の諸性質の強制法のもとでの保存についての研究」においてはようやく具体的な形での成果が得られ, それによって問題の核心的構造もより明らかになってきたので, 今後の進展も大きく期待できるようになった. このように, いずれのテーマの研究も順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ(A)については成果概要で言及したように, 組合せ的命題SCP-eを自然に強制する半順序集合を含む半順序集合のクラスについて調べ, このクラスに属する半順序集合による強制法により強制公理が部分的に保存されることの証明を探る. さらに, より強い組合せ的命題SCPeについて同様のことが成り立つかどうかを調べる. またテーマ(B)についてはT2分離公理をみたすメタコンパクト空間の保存性について引き続き研究を行う. 方法としてはこれまでと同様, 名古屋近辺の連携研究者, 研究協力者とは月に2度程度開かれる名古屋集合論セミナーを通して研究の進捗状況について情報の共有と検討を行い, 研究の方針を定める. また, 比較的近い神戸大学や大阪府立大学の連携研究者とは相互に訪問して研究打合せを行い, 情報の共有に努める. またテーマ(A)については以前から共同で研究を行ってきたドイツのケーニヒ博士とも引き続き連携して研究を行う. テーマ(B)については位相空間論を専門とする友安氏(都城高専)に意見を求める. 両テーマとも成果がまとまり次第国内の研究集会で発表を行う他, 最終的には海外の査読論文誌への投稿をめざす.
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Causes of Carryover |
研究代表者の家庭の事情により旅行が難しい, 特に宿泊を伴う旅行がほぼ不可能な状態が続いており, 他地に赴いての研究打合せや研究集会等への参加回数や期間が当初の予想以上に制約されてしまったために余剰金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
長期の旅行は今後も難しいと予想されるので, 連携研究者を名古屋に招聘する形の研究打合せを多くもつことで対応したい. 状況が許せばケーニヒ博士ら海外の連携研究者を招いて共同で研究を行いたい. 次年度も研究費の大部分は旅費として用いる予定である.
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Research Products
(1 results)