2012 Fiscal Year Research-status Report
平均曲率流に対する近似問題と正則性・特異性に関する研究
Project/Area Number |
24540124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (40232227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (10231458)
上田 好寛 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 講師 (50534856)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 平均曲率流 / 近似問題 / 非線形偏微分方程式 / 粘性解 / 特異性 |
Research Abstract |
研究代表者の石井は平均曲率流に対する近似問題について研究した。2004 年に Chambolle が提案した, 変分法を用いた平均曲率流に対する近似アルゴリズムを非等方的な場合に拡張し、その収束を等高面の方法, 数学的モルフォロジー、粘性解理論を用いて証明した (江藤徳宏, 儀我美一両氏との共同研究)。この成果は Advances in Differential Equations に掲載された。最近, 符号付距離関数や方程式に付随する汎関数を利用した解析を行うことにより、この結果を空間 2 次元. かつ表面エネルギー密度が滑らかでない場合に拡張することに成功した。この結果は現在投稿中である。これらの成果は「研究の目的」や「研究実施計画」に沿ったものである。 研究分担者の内藤は非線形放物型偏微分方程式 (およびその系) に対する爆発解の挙動やソボレフ臨界指数をもつ非線型楕円型偏微分方程式に対する解の存在や分類について研究した。特に爆発解の挙動に関する成果は「研究の目的」や「研究実施計画」にある、平均曲率流に対する特異性の解析に応用できると考えている。 研究分担者の上田は対称双曲型方程式系の消散構造について研究した。緩和効果を表す、この系の係数行列が非対称な場合は可微分性の損失が起こることが近年知られてきた。この構造を解明することを目的として、まず Euler-Maxwell 方程式系について解析を行い、そこで得られた結果を基に一般論の構築を行った。また、非線形波の安定性や解の漸近挙動の精密化についても研究した。これらの成果は「研究の目的」や「研究実施計画」にある、平均曲率流に対する正則性の解析に応用できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」にある非等方的な平均曲率流に対する近似問題に関しては表面エネルギー密度が滑らかな場合は概ね満足のいく結果が得られている。表面エネルギー密度が滑らかでない場合は空間 2 次元の場合に限られているが、これは空間 3 次元以上では適切な広義解の理論が整備されていないからであり, 整備できれば短期間で同様の結果が得られると思われる。 非線形放物型偏微分方程式に対する爆発解の解析もよい結果が得られており、平均曲率流に対する特異性の解析に応用できると考えている。また、平均曲率流は曲面積に対する勾配流と見なせるので、エネルギーを基にした解析も可能なので、対称双曲方程式系に対する解析方法も応用できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
Bence-Merriman-Osher アルゴリズムを基にした、余次元の高い平均曲率流に対する近似問題を研究する。最近、この近似アルゴリズムを用いて空間曲線に対する曲率流や多相問題に現れる曲率流についての数値計算が行われている。これらの研究や Ginzburg-Landau 方程式系の解析方法を参考にしながら、近似問題の解についての挙動を詳しく調べ、収束を証明する際の問題点を探る。また、実際に数値計算も行い、数値解析的な観点からも検討する。そのため、連携研究者である大沼正樹、石渡哲哉両氏と連絡を取りながら研究を進める。 Bence-Merriman-Osher アルゴリズムで構成した平均曲率流の広義解の正則性、特異性を非線形偏微分方程式の爆発解析や消散構造解析を応用しながら調べる。そのため、研究分担者である内藤雄基、上田好寛両氏と討論を重ねることで彼らの成果を平均曲率流の場合への応用について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者の事情で研究打ち合わせ等のための出張が 2 件取りやめになった。この出張を次年度に行うために旅費として使う予定である。
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Research Products
(33 results)