2015 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化マップにおける大域的整列化と準吸収特性を有するクラスに関する研究
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24540134
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
星野 満博 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (90322338)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己組織化マップ / 準吸収的特性 / 状態クラス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の計画としては,自己組織化マップ・プロセスにおいて,逐次学習による順序化・整列化の形成過程での状態について,準吸収的特性をもつクラスの存在性に焦点をあて,特に計画段階では,以下の項目に重点をおいて研究の実施を予定していた. 1)閉性及び準吸収的状態クラスをもつ自己組織化マップにおける学習条件の拡張について 2)閉性をもつクラスの一般化について 3)自己組織化マップの大域的順序化,整列化に関する評価指標の提案 4)工学的周辺応用研究の実施 5)大域的整列化の数理構造について これに対して,当該年度の研究の実績としては,以下の通りである.1)2)5)に関連した実績としては,自己組織化マップとしての本質的な数理構造をもつような設定において,学習のプロセス上で単調性を保存する為の学習のタイプの一つの十分条件を与えることができた.本結果は,単調性を保存する為の現状の学習条件を包含する,より一般的な条件を与えていて,既存の結果の拡張になっている.このタイプの状態保存性を有する学習の数理構造の解明の一助となることが期待できる.また,ここでの研究の成果として,幾つかの結果を国際会議等で発表し,また論文等で出版することができた. 3)5)に関連した実績としては,学習のパラメータと一定の状態クラスに収束(点列的な意味ではなく広い意味での推移)までの学習回数の関係を評価する為のモデルを計算機上で作成することができた.時間の制約もあり,大規模ではないが,評価実験としては一定の結果が得られた.そこでは,幾つかの興味深い性質もみられ,今後の理論研究の予測としても意味のあるものであったと考える.4)に関するものは,前年度からの発展は殆どなかったといえる. 全体を通して,自己組織化マップ・プロセスにおける大域的整列化と準吸収特性に関する研究を,理論展開を中心に一歩進めることができたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画としては,自己組織化マップ・プロセスにおいて,閉クラスおよび準吸収的特性をもつクラスの存在性に焦点をあてた理論的アプローチと計算機シミュレーションによるアプローチを試みることであったが,理論的なアプローチに関しては,概ね順調に研究を遂行することができた.また,応用としての自己組織化マップの大域的順序化,整列化に関する評価指標の提案に関しては,提案したい評価指標と数値モデルを計算機のシステム・計算プログラム上で作成することができ,一定の知見を得ることができたが,時間の制約もあり,評価実験としては予定していた規模となっていない状況である.一方,当初の計画での工学的周辺応用研究の実施については,計画どおりに進まず,前年度からの発展は殆どなかったという状況である. 未達成の項目もあるが,全体としては,自己組織化マップにおける大域的整列化現象とそこへ至るまでの形成過程についての数学的構造の解明への研鑽を積むことができたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究実施計画は以下の通りである. 自己組織化マップ・プロセスにおいて,逐次学習による順序化・整列化の形成過程での状態クラスに注目したとき,それに関する閉クラスおよび準吸収的特性をもつクラスの存在性に焦点をあて,理論的アプローチと計算機シミュレーションによるアプローチを試みる.特に,平成27年度において,未完了の部分に重点をおく.項目としては,以下を挙げる. 1)閉性及び準吸収的状態クラスをもつ自己組織化マップにおける学習条件の拡張について(平成27年度の状態クラスとは別のクラスについて) 2)自己組織化マップの大域的整列化に関する評価指標の提案とそれに係わる数値実験 3)閉性をもつクラスについて 4)工学的周辺応用研究の実施 5)大域的整列化の数理構造について
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Causes of Carryover |
当初の研究実施計画に沿って,自己組織化マップ・プロセスにおける準吸収的特性をもつクラスの存在性に関する研究を実施してきたが,その内の一部において,新たな研究の進展があり,その為の新たなシミュレーション計算とその数理的解析を実施する必要が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由に伴い,平成27年度に使用を予定していた研究費を平成28年度における上記の費用とその発表旅費として充てる.
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Research Products
(4 results)