2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540144
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
酒井 利訓 東海大学, 教育研究所, 教授 (20267842)
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Keywords | 重み付き点集合 / 単調無交差道 / 単調多角形 / 島 / 国際研究者交流 / メキシコ:スペイン |
Research Abstract |
平面上の重み付き点集合P(一般の位置にあるn点で,重みとして1からnまでの各整数値が1つずつ割り当てられたものを主な研究対象とする)の何個かの点を頂点とする単純多角形や無交差の折れ線について,以下の研究成果を得た。 まず,Pの何個かの点を頂点とする無交差折れ線で,頂点の重みに関して周に沿う単調性があるもの(単調無交差道)について,「0.108nと0.892nの間の重みをもつ任意の点pに対して,その点pを通り,長さ0.9n^(1/2)以上の単調無交差道が存在する」ことを示した。ただし,「長さ」とは,折れ線の頂点の総数である。これは,「ある定数c>1が存在して,平面上の任意の重み付き点集合Pに対して,長さcn^(1/2)以上の単調無交差道が存在する」という予想に関連する研究の成果として得られたものである。上述のような「指定した点pを通る長い単調無交差道」に関しては,「pのみを共有点とする2つの単調無交差道の長さの和」についての成果も得られた。 また,「単調多角形」(単純多角形であって,単調無交差道の両端点を辺で結んで得られるもの)の頂点の最大数が(n-1)^(1/2)+1であること,および,この結果が最良であることも示された。 また, Pの何個かの点を頂点とする凸多角形Q(1点および2点に対する凸包も含める)の周上と内部にあるPの点の重みの和W(Q)に関する予想「n≧8のとき,W(Q)=2nである凸多角形Qが存在する」に関連して,「Pの点が凸n角形の頂点の位置にあり,Qの頂点がその凸n角形の連続する何個かの頂点である」場合について,進展が見られた。とくに,W(Q)の取り得る値の個数について,従前よりもよい結果につながることが期待される成果が得られている。この議論を発展させることで,ある範囲の整数mに対しては,W(Q)がmに十分近いようなQが存在することが証明できることも期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は,前半は単調多角形や単調無交差道に重点をおき,後半は「凸多角形の重み」に重点をおき,研究を進めた。前半のテーマの1つである単調多角形については,目標とした成果に到達できた。もう1つのテーマである単調無交差道に関しては,関連するいくつかの成果が得られ学会発表を行ったものの,大きな目標としている「ある定数c>1が存在して,平面上の任意の重み付き点集合Pに対して,長さcn^(1/2)以上の単調無交差道が存在する」という予想の解決へ向けた直接的な進展はみられなかった。 後半の「凸多角形の重み」に関しては,1月にJorge UrrutiaとFerran Hurtadoの2名の研究協力者(海外共同研究者)を招へいして重点的に研究を行った。その結果,ある問題に対する手法として知られている方法をもとに,この種の問題に対して広く効果が期待できる手法の手がかりが得られた。いくつかの解決すべき課題が残されてはいるが,今後の研究へ向けた見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年1月に研究協力者(海外共同研究者)たちと得られた手がかりをもとに,「凸多角形の重み」に対する効果が期待できる手法を確立し,「重みとして取り得る値の個数」や「指定された値に近い重みを持つ凸多角形の存在性」などの問題についての進展を図る。また,上述の研究協力者とは異なる研究者から,関連する問題の提起があり,その問題についても並行して研究を進めていく。夏まではこれらに重点を置いて取り組むが,単調無交差道に関する研究も引き続き行い,Pが一般の位置にある場合とPが凸の位置にある場合の予想に対して,進展を図る。これらに関する成果を9月に実施される研究集会で発表する。 秋以降は再び単調無交差道に関する研究に重点を移して研究を進める。12月に海外共同研究者たちを招へいし,凸多角形の重みと単調無交差道の双方についての研究を進め,それ以降の成果を含めて3月に開催される国際会議で発表する。また,論文執筆・投稿は随時進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」のほとんどが,前々年度である平成24年度の「旅費」の残額である約14万円と「その他」の残額である約12万円によるものである。「旅費」に残額が発生したのは,日程の都合により海外での成果発表を行えなかったことが主な理由であり,「その他」に残額が発生した理由は,会議費の使用を想定していた状況が発生しなかったことなどが理由である。 当初,平成26年度は海外出張による共同研究を1回行うかまたは海外共同研究者を1名招へいする計画であったが,12月に2名を招へいすることとして,「次年度使用額」はその旅費を補充するために使用する。
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