2013 Fiscal Year Research-status Report
可測力学系と位相力学系との交流理論と非可換力学系の作用素論的基礎研究
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24540195
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
長 宗雄 神奈川大学, 理学部, 教授 (10091620)
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Keywords | positive functional / C*-algebra / Banach algebra / operator / perturbation / Weyl's Theorem / n-paranormal / SVEP |
Research Abstract |
まず現在までの達成度を更に補足する発展として次の論文においてC(X)の可換子環のスペクトルの構造を完全に決定した。これは研究協力者である、富山 淳によって M. de Jeu (Leiden Univ.) との共著論文である Maximal abelian subalgebras and projections in two Banach algebras associated with a topological dynamical system, Studia Mathematica,208 (2012),47-75 で発表した。さらに汎関数が positive である性質を持つBanach*-環は自動的にその*-作用とノルムでC*-環になるか?との問題について推定通りの結果を得て次の論文に発表した。これは「A characterization of C*-algebras through positivity of functional, Ann. of Funct. Analysis (2013), 61-63」の論文である。この結果はその帰結としてC*-環の involution はただ一つ(一意にきまる)しかないことを示している。また次の課題としていた非可換のSpectral synthesis の問題の定式化と、それの成立する場合(周期点を持たない場合に限る)についての結果を次の論文に発表した。「Noncommutative spectral synthesis for the involutive Banach algebra associated with a topological dynamical system, Banach J. of Math. Analysis, 2013,103-135。また、前年度来日できなかった、イタリア・パレルモ大学の A. Pietro 教授と、スペイン・サンタンデール大学のM. Gonzales 教授には来日いただき、共同研究を進めることができた。そのときに、進めた共同研究は論文「The perturbation classes problem for closed operators」の題名で制作中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Banach 環の表現の問題は初期の段階(環論よりの移動)では単純に純代数的にのみ考えられてきたが、ノルムを導入した バナッハ環においてはそれだけでは済まされないのが当然である。しかしその中心になるべき既約表現については(特にバナッハ *-環)これまではヒルベルト空間上への位相的な既約表現のみが議論されていた。ところが他方では idealの中心的存在のPrimitive ideal は依然として代数的な既約表現の核として定義されており、その間のギャップについてはこれまで何も研究されていない。両者が一致する C*-環論では問題はないが、バナッハ環においては、これは基本的に重大な問題である。本研究では課題の エル^1-環の既約表現ついて、この差を出来る だけ明らかにしてゆくことを目標にする。有限次元の既約表現については両者が一致することは自明な結果であるから問題は無限次元の 表現の場合である。従って エル^1-環が何時無限次元の表現(ヒルベルト空間とは限らない)を持つかが課題になるが、有限次元の表現しか持たないのは底空間 X が周期点のみから成り立つ時であることを示す。 また、作用素論では、ヒルベルト空間で定義される *-paranormal 作用素をバナッハ空間上の作用素に拡張することを試みる。n-paranormal 作用素間の相互関係や共通部分についても考察し、これらを明らかにする。さらにスペクトル理論としてこのクラス作用素は Weyl の定理が成立するのか、また SVEP について研究する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は韓国・ソウルで8月13日~21日間に世界数学者大会が開催される。このため先立つ8月8~12日間に我々の分野の研究者が韓国・Chonpung で Operator algebras and its applications の題名の研究集会が開催される。これに、荒木不二洋、竹崎正道、富山 淳が参加し情報交換を進める。この旅行の費用に充てる。また、11月25~27日の間に京都大学数理解析研究所で開催される研究集会に、ベルファスト大学の Martin Mathieu 教授とUniversidad Nacional Autonoma de Mexico大学の Hugo Arizmendi 教授に来日いただき、共同研究を進める。このための費用に充てる。
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