2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蜂巣 泉 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90135533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新星爆発 / 白色矮星 / 連星系の進化 / チャンドラセカール限界質量 / 超新星爆発 / 回帰新星 / 水素核燃焼 / 質量降着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Ia型超新星の最新の観測結果を統一的に説明する、新たな連星進化モデルを構築し、Ia型超新星の起源を理論面から明らかにすることである。特に、最近注目される次の2点: (1) チャンドラセカール限界質量を大きく超える白色矮星が爆発したとしか考えられない、非常に明るいIa型超新星の起源、および、(2) 質量降着によりスピンアップし、チャンドラセカール限界質量を超えた白色矮星がどこまで超新星爆発を引き延ばせるか、に焦点をあてる。
昨年度、われわれのIa型超新星モデルを強力にサポートするチャンドラセカール限界質量ぎりぎりの(あるいはそれをわずかに超える)白色矮星質量をもつと思われる回帰新星がアンドロメダ銀河(M31)に発見された。新星は連星系中の相手の星から、水素ガスが白色矮星に降り積もり、一定の量がたまると水素核燃焼に着火し、爆発する現象である。白色矮星の質量が重いほど、降るガスの率が大きいほど、その爆発の時間間隔が短くなる。この回帰新星は、爆発周期が1年という、今までにない短い周期をもつものであった。昨年度は、この1年周期のモデルを実現するには、白色矮星質量が1.3倍から1.38倍太陽質量の白色矮星でないとその条件を満たさないことを明らかにした。(出版は今年度。) 今年度は、さらに観測が精密化され(1年ごとに観測されるので)、明るい軟X線の期間が12日続くことが明らかになった。可視光、および紫外域の光度曲線も精密に求められたので、モデルの精密化が可能になり、白色矮星質量が1.38倍太陽質量程度であることをあきらにできた。これは、まさにIa型超新星爆発直前の質量であり、いつ爆発しても不思議ではない天体であると思われる。もし、この天体がIa型超新星として爆発すれば、私たちのモデルが確かめられたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アンドロメダ銀河に出現した、周期1年の回帰新星の観測が、昨年度より精密に行われたことにより、理論モデルのより精密な構築が可能になった。このことは、われわれのモデルをより強力にサポートする具体的な天体の出現であり、計画当初においては、当然のことながら、そのような天体の出現は考慮されてはいなかった。もちろん、理論的には可能ではあったが、具体的な天体が出現するかどうかは、理論の精密化にとって、非常に大きなファクターである。それによって、より理論モデルの精密化が可能になるからである。今年度の新観測により、白色矮星の質量をより精確に1.38倍の太陽質量と推定することができた。これは、Ia型超新星爆発直前の質量であり、実際にIa型超新星への進化途上(というより直前)の天体があることをほぼ確定できたことは、大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、当初の目的の一つである低金属量のガスを白色矮星に降らせた場合の研究を行う予定である。また、それと同時に、1年周期の回帰新星の観測を再現するモデルの精密化をはかり、さらに白色矮星質量などの推定を確かなものとしたい。
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Research Products
(6 results)