2012 Fiscal Year Research-status Report
日韓VLBI網で探る巨大ブラックホールからの相対論的ジェット噴流
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24540240
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
紀 基樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (70531234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 聡子 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 研究員 (00452631)
永井 洋 国立天文台, チリ観測所, 研究員 (00455198)
土居 明広 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (90403641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ブラックホール / 相対論的ジェット / VLBI / 電波 / 韓国:イタリア |
Research Abstract |
まず最初に、研究計画調書にも示したVERAアレイのみの場合の振幅較正精度が低い問題を、相互相関パワーの中間周波数依存性の補正テーブルを導入することによって解決し、およそ10パーセントという十分な振幅較正精度を最終的に達成できた。問題の解決後は、VERAを用いたジェット(天体名:PKS1510-089)モニターの結果を査読論文として出版した(Orienti et al. 2012). 次に、代表者が代表を務めるVERA+KVN合同アレイの活動銀河核ジェット(以下AGN)サブワーキンググループにおいて取得した観測に対して、データ較正の実践と問題点の洗い出しを行った。本年度は22GHz帯データに集中した。VERAアレイのみでも22GHz帯でのジェット観測では十分な経験を積んできたため、VERA+KVNアレイへの拡張においても特に大きな問題は無く、M87ジェットの初の電波画像イメージが取得できた。VERAアレイのみとVERA+KVN合同アレイのそれぞれで得られたイメージを比較した結果も、期待通りのイメージ品質の向上を達成し、VERAのみでは捉えることができなかったM87ジェット噴流の様子をVERA+KVN合同アレイによって鮮明に捉えることに成功した。この初期成果は、日韓合同アレイ科学ミーティングにおいて代表者が、日本、韓国、台湾において口頭発表を行い成果を発信した。 また、相補的な成果として、VLBAアレイによる共同利用観測時間観測データとアーカイブデータによるM87ジェットの2010年4月に起こったのγ線フレア時期をはさんだVLBI観測の結果をHada et al. (2012)として査読論文出版をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核のひとつであるVERA+KVN合同アレイによるM87ジェットの22GHz帯における初のイメージが無事取得できた。得られたデータから、VERAアレイのみとVERA+KVN合同アレイのそれぞれの場合のイメージの比較を行った。その結果、期待される通りのイメージ品質の向上を達成し、VERAのみでは捉えることができなかったM87ジェット噴流の様子を鮮明に捉える事をVERA+KVN合同アレイによって得ることに成功した。よって、おおむね順調な進展をしていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
日韓合同VLBIアレイの科学検討チームには、AGNサブワーキンググループの他にもサブグループが3つあり、限られた観測時間を分けあい観測スケジュールを組んでいる。この観測時間の制限ため、まず24年度は、アレイのイメージング性能のテストに的を絞った。そのため、複数エポックのイメージの比較を行ってジェット噴流のサイエンスを行うところまでは踏み込んでいない。25年度は、複数エポックの比較を行う観測スケジュールを実行できるように、各サブワーキンググループやアレイの運用グループと調整をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(14 results)