2014 Fiscal Year Annual Research Report
輻射磁気流体力学計算に基づく原始惑星系円盤モデルの構築
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24540244
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 重信 独立行政法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, 主任研究員 (90266924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 助教 (80362606)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 降着円盤 / 熱平衡曲線 / 原始惑星系円盤 / 矮新星 / 磁気回転不安定性 / 磁気乱流 / 熱対流 / 水素電離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原始惑星系円盤ガスの乱流状態と温度を、輻射磁気流体力学計算によって第一原理から求めることであり、具体的な目標として、(A)局所構造のパラメタ依存性と大局構造の推定、(B)局所構造解の熱安定性、(C)円盤大気における磁気乱流散逸機構、の三つを掲げている。最終年度である平成26年度は、平成25年度に得られた(B)の結果の、角速度(=局所構造解の基本パラメタ)依存性を調べるため、角速度の値を平成25年度の1/250(中心星からの距離=0.04天文単位に相当)とした上で、平成25年度と同様に、面密度(シミュレーションボックス内のガスの総量)をパラメタとして、どのような熱平衡解が可能かを調べた。その結果、1)二つの熱的に安定な解ブランチが存在する、2)ある面密度の範囲において系は双安定であり、リミットサイクルを起こす状態遷移が示唆される、3)高温ブランチで、α値(ガス圧で規格化した乱流ストレス)が特異的に高い値0.1を示す、という結果が得られた。これらは、全て平成25年度の結果と整合的であるが、2)において系が双安定を示す面密度の範囲はおよそ1/3程度であり、予期されるリミットサイクルはより小規模である。これらの成果は、Monthly Notices of Royal Astronomical Society誌において出版された。研究期間全体を総括すると、特に(B)について予想を上回る成果が得られた。すなわち、a)輻射磁気流体力学計算を用いて(原始惑星系円盤を含む)降着円盤の局所熱安定解を第一原理から求める方法を確立したこと、b)ガス温度が水素電離温度近傍にあるとき、高温状態と低温状態のリミットサイクルが期待されること、c)高温状態においては(熱対流との相互作用により)磁気乱流の飽和値が数倍に高められること、がわかった。特に、c)は、スピンオフとして、矮新星と呼ばれる降着円盤の理論にも大きく貢献することが出来た。
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Research Products
(5 results)