2015 Fiscal Year Annual Research Report
電子・陽電子プラズマ中の相対論的無衝突衝撃波と粒子加速の運動論的研究
Project/Area Number |
24540277
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
加藤 恒彦 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 専門研究職員 (90413955)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ / 衝撃波 / 粒子加速 / 粒子シミュレーション / 不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まずこれまでに行ってきた、無衝突衝撃波における粒子加速過程の大規模シミュレーションによる研究を論文にまとめて投稿し、Astrophysical Journal誌に掲載された。また、引き続いて、粒子シミュレーションにおける高エネルギー粒子のエネルギーロスについて研究した。その結果、高エネルギー粒子の速度の方向に対して垂直に強い磁場がある場合には、エネルギー減衰率は磁場が無い場合に比べて減少すること、また、相対論的な温度のプラズマの場合でも、高エネルギー粒子のエネルギーがプラズマの熱的粒子のエネルギーよりもはるかに大きい場合には、エネルギー減衰率は非相対論的な場合とほとんど変わらないことなどがわかった。さらに、プラズマに流れのある場合に発生する数値的な静電不安定性についての研究を行い、過去の文献により与えられていた不安定性が起きるグリッドサイズの閾値が、実際にはシミュレーションで用いられる粒子の形状や、電磁場の差分化の方法などに依存することなどを明らかにした。これらの内容は天文学会やシンポジウムなどで発表し、現在、論文にまとめている。研究期間全体としては、並列型スーパーコンピュータ用のプラズマ・シミュレーションコードを開発し、それを用いて無衝突衝撃波中の粒子加速過程を運動論的に研究した。その結果、無衝突衝撃波の遷移層近傍で反射された粒子により波の励起が起こり、磁場が増幅されること、そしてその波との相互作用によって一部の粒子が加速されることなどが明らかになった。また、粒子法のシミュレーションで問題となるいくつかの数値的問題についても研究を行い、その性質や問題の対処方法などについて詳しく調べた。特に、シミュレーションで用いる粒子数に反比例して高エネルギー粒子のエネルギーロスが起きる事を非相対論的プラズマ、相対論的プラズマ双方の場合について示した。
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Research Products
(3 results)