2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
太田 信義 近畿大学, 理工学部, 教授 (90167304)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子重力理論 / 高階微分 / 繰り込み群 / asymptotic safety / ブラックホール |
Research Abstract |
今年度は目標としていた3次元の高階微分を含む重力理論において、繰り込み群の紫外固定点を探求した。その結果、紫外固定点が確かに存在し、重力の量子論として意味のある理論になっていることがわかった。しかし摂動論的にユニタリーな理論にはならないこともわかった。また、この成果は限られた背景時空の場合だけなので、一般的な背景時空および任意の時空次元についての解析を進めており、現在その結果がほぼ得られたところである。一方、このような高階微分をもつ超弦理論の有効理論における電荷を持つブラックホール解を4次元以上10次元までの場合に構成し、その物理量などを求めた。これらの解析は今後重力の量子論や、ブラックホールの特異点などの解析に重要になると考えられる。以上の成果は2つの学術誌に発表した。 また、2012年3月から4月にかけて韓国で行われた国際研究集会CQUEST Spring Workshop on Higher Spins and String Geometry、6月英国ケンブリッジでのString Phenomenology、9月京都産業大学での日本物理学会、11月インドのバラナシでのNew Trends in Field Theories、2013年2月韓国済州島でのAsia-Pacific School/Workshop on Gravitation and Cosmology 2013においてこれらの成果を発表し、いろいろな研究者に関心を持ってもらった。 一方、重力子が質量を得るmassive gravityという理論が、現在の宇宙の加速膨張に関連して関心を集めているが、その理論の無矛盾性について完全な理解ができていない。昨年6月以来、京都大学基礎物理学研究所長の九後太一教授とこの問題について検討し、ほぼそれを解明することができた。その成果をできるだけ速やかにまとめようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では3次元で曲率2次までの理論の分類、並びにその量子効果を調べること、さらにそれを4次元に拡張することが目標であったが、ほぼそれを達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究が順調に進み、任意の次元、任意の背景場上での重力の量子効果が計算できている。これにより、考えている理論が重力の量子論を与えることの証拠が得られつつある。今年度はさらに物質場を結合させて、重力の量子効果がどのように現れるか、また時空という概念がどのように変更されるかを、重力の量子論の中で検討していく予定である。 また、高階微分をもつ重力理論のブラックホール解などについてもさらに検討し、量子論的な解析も行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
重力の量子論として意味のある理論が得られ、その量子効果を考えることができる。この成果を種々の国際研究集会において発表し、さらなる議論を深めていくための外国、および国内旅費を主たる支出として考えている。本年4月には米国テキサスにあるTexas A & M Universityにおいて開催される"Topics in Holography, Supersymmetry and Higher Derivatives"、6月にはクロアチアで開催される2nd Mediterranean Conference on Classical and Quantum Gravityに招待されており、これらの成果について発表する予定である。これらには、各国の専門家が勢揃いしているので、研究のさらなる発展が見込める。
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