2012 Fiscal Year Research-status Report
電気化学的手法を用いたトポロジカル絶縁体・超伝導体の精密物性制御
Project/Area Number |
24540320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導 |
Research Abstract |
タリウム系トポロジカル絶縁体のバルクキャリア制御を電気化学的に行う手法では10^-19 cm-3を下回るほど劇的にバルクキャリア濃度を減らすことはこれまでのところできていない。また、BiSbTeSe系トポロジカル絶縁体に関しては電気化学によってバルク絶縁性を上げることにはまだ成功していないが、イオン液体ゲーティングを用いた実験で表面状態の電子密度を制御しようとしたところ、バルクのキャリアが変化してしまうような振舞いが観測された。電気化学的な反応が起きたことが可能性の一つとして示唆され、電気化学的にバルクキャリア制御ができる可能性があると考えられる。 トポロジカル超伝導体の探索については、GeBi2Te4というトポロジカル絶縁体についてCuのインターカレーションを行った。試料をアニールして0.3 K まで抵抗率を測定したが、超伝導は観測されなかった。また、トポロジカル超伝導体探索のための舞台となるトポロジカル絶縁体の探索については、Pb-Bi-Se系化合物でPbSe層とBi2Se3層がそれぞれブロックを成して積層し、結晶の内部の界面にトポロジカルに守られた表面状態が実現していると見られる興味深い結果が光電子分光実験によって得られた。現在はその新しい系に対して電気化学インターカレーションを試み、超伝導体を探索している段階である。 Cu以外の遷移金属のインターカレーションについてもBi2Se3について実験を行ったが試料の質量増加が見られず、インターカレーション自体がCu以外の元素ではまた成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トポロジカル絶縁体のバルク絶縁性向上と、Cu以外の遷移金属元素のインターカレーションについてはいずれも未だ成功していない。 トポロジカル超伝導体の探索は簡単ではないが、Cuをインターカレートする舞台を広げて行っているものの、未だに成功していない。ただ、インターカレーションの舞台となるトポロジカル絶縁体は増えたので、今後実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに発見されたヘテロ接合型トポロジカル絶縁体であるPb-Bi-Se系について、Cu を中心として遷移金属元素のインターカレーションを行うことにより、トポロジカル超伝導体、あるいは磁性を持つトポロジカル絶縁体の探索を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試料合成と評価機能を充実させるため、電気炉と計測器類の購入に重点的に充当する予定である.
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