2014 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子が織りなす反強磁性と超伝導が競合・共奏する系の量子臨界点
Project/Area Number |
24540366
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
梅原 出 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90251769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重い電子系 / 高圧力 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
CeIrSi3、CeRhSi3、CeRhIn5、CeIn3などの重い電子系反強磁性体の高圧力下での熱容量測定を通して、重い電子系反強磁性がいかに圧力によって抑制され特異な超伝導状態に至るか研究を行った。また、超伝導状態のギャップに関しても磁場中角度依存性の測定を加圧下で測定し、研究を行った。関連する希土類金属間化合物の高圧下での物性も研究した。 CeIrSi3、CeRhSi3は反転対称性の欠如した結晶構造を有する圧力誘起型の重い電子系超伝導体であるが、反転対称性が欠如することからラッシュバ効果によって、極めて高いHcを有することが、熱容量の測定からバルク特性として観測された。また、Hcには異方性があり、反転対称性が欠如した正方晶のc軸が基底面より高いHcを有することが観測された。このような超伝導特性をバルクの特性として観測できたことは、超伝導特性の理解に有用な情報を得たことになると理解される。磁場中角度依存性の測定より、ギャップに異方性が観測され、BCS的な、すなわち、s波超伝導ではなくp波もしくはd波超伝導の可能性を見出した。CeRhIn5に関しても、同様な測定を行い非BCS的な振る舞いを観測した。 CeIrSi3、CeRhSi3、CeRhIn5、CeIn3の4つの物質ともに、反強磁性秩序が圧力下でエントロピーが減ずることなく抑制されているようにみえることを観測した。すなわち、高圧・低温下で、熱容量が発散的傾向を示すことから、スピンの揺らぎが増大し、非フェルミ液体的状態に移行することがわかった。このことは、量子臨界点近傍でスピンの揺らぎが増大することが、超伝導発現の鍵となることがバルク特性として観測されたことを示しており、上記の非BCS超伝導の出現に大きく関与することを示唆する結果となった。
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Research Products
(6 results)