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2013 Fiscal Year Research-status Report

ストームグラス中の結晶挙動の研究

Research Project

Project/Area Number 24540415
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

長島 和茂  明治大学, 理工学部, 教授 (70339571)

Keywords結晶成長 / 形態形成 / ストームグラス / 溶液成長
Research Abstract

ストームグラスは、溶液内の結晶挙動を観察することで天気予報に利用された歴史的器具である。本研究は、温度変動下の結晶の形状や析出量などの見た目の特徴を生ずる機構の理解は現代科学の観点からも興味深いと考えて研究を行った。ストームグラスは5成分系のため、析出しない微量成分を除いた3成分系、さらには析出するカンファーとエタノールからなる2成分系との比較実験を行った。
いずれのサンプルでも、温度変動条件下における無数の結晶の挙動を扱う必要があり、その理解は簡単ではない。この複雑な振る舞いを特徴づける指標を見出すために、今回新たに多層解析を行った。試験管に析出して下部に沈殿した結晶は、複数の層を形成しているためである。これらの層の成因は、初期の無数の核形成による微結晶の集合体、その後の樹枝状成長、さらには、樹枝上方の溶液中での無数の核形成による結晶の降り積もり、そして、この繰り返しにあることが分かり、それらの起源を明確に捉えた。昨年度までは、結晶集団の全高さの時間変化の解析しか行ってこなかったが、今年度は層ごとの層厚の時間変化の解析(多層解析)を行った。これにより、層はその起源により、厚さが「一定」、「減衰」、「パルス的」、「振動」の4つの項に分類され、5成分系においてそのすべてが関与し、3成分、2成分系へと関与する項が減るという多様な挙動の要素過程を見出した。さらには、同じサンプルであっても、静置した試験管内で結晶を溶解したものと、それを撹拌したものでは、初期の濃度場の有無の違いにより多層構造の形成の仕方に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
本研究対象は、核形成や成長・溶解を伴う多結晶集団の複雑な振る舞いを示すことが難しさであるが、この問題に対して特徴を定量化する指標を見出したことは今後の研究の進展にとっても意義深い。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的通り、ストームグラス溶液である5成分系、よりシンプルな系である3,2成分系での温度変動実験の対比を行い、その特徴を前述の多層解析により明らかにした。また、すべての成分数のサンプルにおいて、相平衡温度と密度のカンファー濃度依存性の測定も完了し、これらの基礎データは核形成温度や自然対流等の議論に生かされた。
密度測定の結果、結晶の浮遊の可能性は完全に否定された。このため、試験管全体において無数の結晶が核形成したときに、その沈殿速度の遅さが見た目の特徴として「浮遊」と捉えられたと考えられる。そこで、当初の予測である液液分離が結晶の浮遊に関与するのではないかとの考えを改め、溶液の密度測定のデータは結晶の成長や溶解に伴う液相中の濃度分布の変化と対流の有無の議論に生かした。
以上の通り、当初の予定とは異なる新事実も明らかとなりつつあり、おおむね順調に本研究が進展している。また、本年度の研究成果の一部は、査読付きの学術誌(J. Crystal Growth)にアクセプトされ、既にオンライン上に成果が公表されている。

Strategy for Future Research Activity

本研究の目的である温度変動下の結晶集団の挙動の理解を深めるために研究を推進し、その成果を国内外の学会において発表するとともに、学術論文としても公表していく。
具体的には、温度変動下におけるストームグラス中の多結晶集団の成長・溶解過程における見た目の変化過程を特徴付けるために、結晶集団を構成する層ごとに多層解析を行う。この手法は今年度その有効性が示されている。今後、温度変動の周期や温度振幅を変えた実験や、さらには、複雑な温度変動を与える実験等へ移行する。これまで、同じ温度条件での周期的温度変動(シンプルな温度条件の与え方)にこだわった理由は、そもそもが複雑な挙動を示す結晶挙動の有効な定量的取扱い方が見いだせていなかったことにある。本年度の成果により多層解析が有効な定量的指標となりうることが分かったので、今後は様々な変動条件下での実験結果の解析や理解が進展するものと期待する。
以上の成果を基にして、結晶成長学の研究分野全般においても十分な議論がなされていない温度変動下の結晶挙動の理解を深めるとともに、その成果をストームグラス以外の結晶の研究へと応用することを模索する。

Research Products

(5 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Cyclic growth and dissolution of camphor crystals in quinary, ternary, and binary solutions: A study on crystal behavior in storm glass2014

    • Author(s)
      Takuro Mitsuya, Kyohei Takahashi, Kazushige Nagashima
    • Journal Title

      Journal of Crystal Growth

      Volume: 401 Pages: 233-237

    • DOI

      10.1016/j.jcrysgro.2013.11.047

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 二種類の粒径のガラスビーズ中において一方向成長する THF ハイドレートのパターン形成 -海底メタンハイドレートのパターン形成の機構解明へ向けて-

    • Author(s)
      村岡道弘、長島和茂
    • Organizer
      日本エネルギー学会
    • Place of Presentation
      工学院大学
  • [Presentation] Effects of cyclic temperature change on camphor crystals in Storm glass solution, camphor-ethanol-water solution, and camphor-ethanol solution

    • Author(s)
      Takuro Mitsuya, Kyohei Takahashi, Kazushige Nagashima
    • Organizer
      17th International Conference on Crystal Growth and Epitaxy ICCGE-17
    • Place of Presentation
      ワルシャワ大学、ポーランド
  • [Presentation] 温度変動下における2成分、3成分、5成分溶液中でのカンファー結晶の成長と溶解の挙動

    • Author(s)
      三矢拓郎、高橋恭平、長島和茂
    • Organizer
      日本化学会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
  • [Presentation] THFハイドレートの界面付着カイネティクスの実験的研究

    • Author(s)
      青木雄太、村岡道弘、長島和茂
    • Organizer
      日本化学会
    • Place of Presentation
      名古屋大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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