2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
原 辰彦 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (40360466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグニチュード / 津波警報 |
Research Abstract |
地震のマグニチュード決定の迅速化を図るために、これまで遠地(震央距離30-85度)のデータに適用してきたHara(2007, EPS, 59, 227–231)の手法を用いて、震央距離30度以下のデータを解析し、適用可能性を検討した。 解析する地震としては、全世界で1994年以降に発生したマグニチュード7.2以上で深さ50km以浅の124地震を選んだ。解析に用いる広帯域波形データはIRIS(Incorporated Research Institutions for Seismology)のデータセンターより取得した。震源・観測点ペアの数は2619である。P波到着からS波到着までの時系列にHara(2007)のデータ処理方法を適用し、P波部分の高周波震動継続時間を計測した。遠地データから得られた高周波震動継続時間と比較したところ、系統的に長いことが分かった。また、Hara(2007)の方法でマグニチュードを求め、遠地データの結果と比較すると、系統的に大きいことが分かった。マグニチュードが大きくなる主な要因は、高周波震動継続時間が長いことである。Hara(2007)のマグニチュードの式の高周波震動継続時間に関する項と定数項を修正することにより、遠地データの解析と整合的な結果を得ることができることを示した。 日本の地震については、広帯域波形データとは独立に、防災科学技術研究所のK-NET、KiK-netの強震記録を解析した。このデータセットではS波の高周波成分が顕著となるので、S波部分の高周波震動継続時間を計測した。得られた結果は、遠地データの結果と相関を示すが、ばらつきが大きい。次に、S波部分の高周波震動継続時間とP波の最大変位を使ってマグニチュードを求める新しい経験式を導出し、モーメントマグニチュードと概ね整合的なマグニチュードの値が得られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は研究実施計画に沿ってデータ解析を進めた。震央距離30度以下の広帯域波形データの解析結果は、研究課題で使用している解析手法の有効性を示すものである。強震記録の解析では、S波部分の高周波震動継続時間を計測し、新しい経験式を導出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の実施は順調に進んでおり、研究実施計画に沿って進める予定である。平成25年度は、高周波震動継続時間を用いて断層面の大きさを推定する手法開発を行う。また、平成24年度に得たS波部分の高周波震動継続時間を用いた新しい経験式の改良を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は以下に使用する予定である:① 研究成果を日本地震学会秋季大会及び米国地球惑星科学連合秋季大会で発表するための投稿料、参加費、旅費、② 論文登載料、③ ハードディスク(S波部分の高周波震動継続時間を用いた新しい経験式の改良のために解析結果を保存するために必要)。
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Research Products
(1 results)