2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540460
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
原 辰彦 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (40360466)
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Keywords | マグニチュード / 津波警報 |
Research Abstract |
遠地で観測されたP波の高周波震動継続時間を計測し、その方位角依存性から高周波エネルギーを放射した断層運動を推定する手法を開発した。これまでに開発された手法は断層運動が一方向に進む仮定を用いており(例えば、Gusev et al., 2007)、複雑な破壊過程をもつ地震に適用するのは困難であった。本研究では断層運動の方向性を仮定せず、断層運動の終端点をグリッドサーチ法で求める問題として定式化することによって、この困難を解決した。グリッドサーチで使用する断層面は、震源メカニズムから設定することも可能である一方、既往のプレート境界のデータベースを用いることも可能である。解析上の仮定が少ないので、ルーティン的な解析に適している。 開発した手法を5つの大地震に適用し、断層運動の終端点を推定した。得られた結果は、解析した地震の高周波エネルギー放射に関する既往研究の解析結果と概ね整合的であった。この結果は、今回開発した手法で他の手法と独立した情報が得られることを示唆する。一方、データのばらつきが大きいので、比較的小さな地震を解析した場合は、誤差が大きいと予想される。 また、波形データセットを拡充し、Hara (2007)の遠地データを使ったマグニチュード計算式をグリッドサーチ法により改定した。新しい計算式は元の式と比べて、震央距離依存性、高周波震動継続時間依存性が低い。昨年度の研究で求めた、震央距離30度以下で観測された波形データに対するマグニチュード計算式も、グリッドサーチ法で改定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、研究実施計画に沿って、遠地で観測されたP波の高周波震動継続時間から高周波エネルギーを放射した断層運動を推定する研究を進めた。計画当初は、既に開発された手法を基に進める予定であったが、断層運動の方向を仮定しない、より柔軟な手法を開発し、データ解析を行った。断層面の大きさを推定するには、破壊伝播速度地震を仮定する必要があり、今後検討を進める。 平成24年度に、Hara (2007)のマグニチュード計算方法を震央距離30度以下のデータに適用し、その有効性を示した。しかしながら、Hara (2007)で計算されるマグニチュードは若干ではあるが、モーメントマグニチュードと系統的な差があることが分かり、計算式の改定を行った。この改定に時間を要し、成果を論文としてまとめるのが遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にそって、平成26年度は、津波地震の識別手法の開発を行う。また、平成24、25年度の研究で得た、Hara (2007)のマグニチュード計算式の改定及び震央距離30度以下のデータに対するマグニチュード計算式について、現在論文を準備している。高周波震動継続時間から断層運動を推定する手法については、ルーティン的な解析を可能にするデータ処理システムを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に、データ処理の補助作業を予定し、そのための人件費を計上したが、効率的なデータ処理プログラムの作成により、必要がなくなった。また、論文登載料が残っていることが、次年度使用額が生じた理由である。 平成26年度は最終年度であり、学会参加費、旅費、論文登載料に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)