2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540474
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 望 広島工業大学, 環境学部, 教授 (90368762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 氷河変動 / パタゴニア / カービング氷河 / 氷河湖 / ペリート・モレノ氷河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題期間中に、2012年12月~2013年1月および2013年12月~2014年1月の2回、連携研究者らと協同して南米アルゼンチン共和国南パタゴニア氷原における氷河および氷河前面湖の観測を実施した。対象氷河は、ペリート・モレノ氷河、ウプサラ氷河、ヴィエドマ氷河の、いずれも氷河前面湖にカービングする3氷河であった。 ペリート・モレノ氷河においては、消耗域中流部の表面測量により氷厚減少速度を把握した。従来はトータルステーション測量で10測点でのみモニタリング測量されていたのに対し、GPS干渉測位を導入することにより、旧来の10測点座標を含みつつ、測量範囲を拡大した。その結果から、2010年ころを境に氷厚減少速度が鈍化している可能性を見出した。この氷厚変動の要因として流動場の変化に着目して現在も検討中であり、両者の関係を解き明かすことを本研究課題の重要な成果として期待している。 その他に、上記3氷河が流入している前面湖において、連携研究者の主導によって測深や湖水鉛直構造の観測も実施され、本研究課題で目指していた湖盆図の作成は実質的に達成されたと言える。ただし氷河末端におけるカービング速度の観測は、現地観測期間の制約などから残念ながら実施できなかった。 さらに最終年度には、流体解析ソフトを導入して数値モデル研究に着手した。これは現地観測データを活かしつつ、かつ現地観測データが不十分な要素については多様な仮定条件を設定したモデル計算を実施することで、観測の不備を補う仮説が推定できないかと考えてのことである。残念ながら本研究課題期間中にはその成果をとりまとめて発表するまでには至らなかったが、近いうちに発表できるように研究を継続推進しているところである。
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Research Products
(5 results)