2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 博文 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (50240122)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 若狭 / 福井 / 高浜 |
Research Abstract |
日本海西南部では津波の発生・襲来は太平洋側に比べはるかに少ない.しかし古文書や伝承では津波と思われるものがいくつか存在する.そこで若狭湾域を対象地域として過去の津波襲来の可能性を津波堆積物調査から行うこととした. 津波堆積物調査では津波が襲来した際,砂質な津波堆積物が供給される場所であり,津波堆積物が残されやすい場所であることが必項である.そこで本年度においては,福井県高浜町の海岸低地部を中心に,地形調査・ボーリング掘削を行い,津波堆積物の調査に適した地点を見出すための地質環境の変遷について解析を行った. 高浜の海岸低地では海岸に沿って高さ5~10m程の浜堤が形成されており,その背後は標高1~3m程の低地が点々と広がっている.この低地の3地点で6本のボーリングを掘削した.その結果,高浜の海岸低地は約6000年前頃には湾奥の波の影響の強い浜辺ないし,浅海であったが,西部では埋め立てに伴い,次第に氾濫原的な環境へと変化し,流路堆積物である砂礫層や氾濫原堆積物である泥層が堆積していった.これに対し,その東側では沖合に砂州が形成され始めたためか,次第に内湾的な環境へと変化していった.中央部付近では内湾的な環境が長く続き,泥質な細粒砂や泥が堆積し続け,約1000年前ごろに汽水性の潟に,その後沼地へと変化していった.一方東部では,4000年前には内湾的な環境から汽水性への環境へと変化し,おそらく3000年前ごろには泥炭や細粒な泥が堆積する沼地へと変わっていったと推定された. 以上の地質環境の推定からすると,特に高浜平野の東部は津波堆積物調査を行う適地であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
津波堆積物調査では,その調査適地を見出すかが非常に重要なカギとなる.特に前面の砂浜海岸に接するように位置している潟湖などの湖沼や低湿地はその最適地とされ,これまでも多くの地点で津波堆積物が報告されてきた. 若狭湾岸では三方五湖や猪ヶ池が海岸に接した湖沼として分布し,また現在では埋め立てられてしまっているが,かつて機織池と呼ばれる潟湖が存在していた.これらの地点ではこれまで津波堆積物調査が行われており,猪ヶ池では津波堆積物と考えられる堆積物も関西電力により報告されている.しかし若狭湾中・西部では津波堆積物調査は行われておらず,またルイス・フロイスの日本史の津波の記述が高浜の可能性もあることから,初年度は高浜の置ける津波調査適地を見出すための調査を行った. その結果,高浜の海岸低地東部が調査に適した地点であることが明らかとなった.このことは今後の調査活動の弾みになる結果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
高浜の海岸低地東部が津波堆積物調査の適地であるという昨年度の結果を踏まえ,まず本年度実施したボーリング試料の詳細な解析を行い,津波堆積物が挟まれているかどうか,検討を行う.その結果を踏まえ,追加のボーリング,場合によってはトレンチ調査により,さらに津波堆積物の認定,広がりについて,解析を行う. また高浜の海岸低地東部以外にも津波調査に適した地点がないか,特に津波の伝承が残っている地区を中心に,ボーリング掘削等により,その可能性を探ることを予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度の予算は主にボーリング費用(場合によってはトレンチ費用),放射性炭素同位体年代費用,調査用具などを予定している.
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Research Products
(4 results)