2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540487
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 博文 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (50240122)
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Keywords | 津波堆積物 / イベント堆積物 / 若狭 / 高浜 / 津波 |
Research Abstract |
日本海西南部では海域の活断層は少なく,津波の発生は太平洋側に比べはるかに少ない.しかし若狭湾岸には古文書や伝承で津波と思われるものがいくつか存在する.そこで高浜町を中心とした若狭湾域を対象地域として,過去の津波襲来の可能性を津波堆積物調査により行うこととした. 昨年度は高浜町園部および東三松においてボーリング調査を行い,園部地区の海岸低地は約6000年前頃には波の影響の強い浜辺ないし,浅海であったが,次第に波の穏やかな内湾的な環境,さらには湖沼の環境へと変化していったことが明らかとなった.そこで本年度は園部地区を中心に試料採取を行うとともに,調査適地の可能性のある高浜町和田,おおい町宮留,若狭町遊子,美浜町坂尻および山上の現地調査および一部の場所でボーリング調査を実施した. 園部において,最大で4層準から砂質なイベント堆積層を見出すことができた.この内,浅部の2層準については,予察的にハンドコアラ-を用いて,その分布範囲を追跡したところ,最大で現在の河口から500m程度のところまで追跡できそうなこと,また砂質なイベント堆積層中には貝殻片が混じっていることがある等が明らかとなった. イベント堆積層の堆積年代については現在,検討中であるが,園部地区では少なくとも泥炭質な堆積層中に貝殻片を含む分級のよい砂層をもたらした何らかのイベントがあったと推定される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
津波堆積物調査では,その調査適地を見出すかが非常に重要なカギとなる.本研究では昨年度,高浜町園部地区が調査に適した地点であることを明らかにし,本年度,この地区を中心に試料採取を行った.その結果,3~4層準から砂質なイベント堆積層を見出した.しかしこれらの砂質なイベント堆積層が,園部地区ではどのような分布をしているのか,広域に分布しているイベント層であるのか,年代はいつであるのか,またどのような要因によって形成されたものかについては解明されていない.
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Strategy for Future Research Activity |
高浜町園部において,イベント堆積層が見いだされたことを踏まえ,H26年度の調査では,園部地区において小規模なトレンチの掘削を行い,イベント層の堆積構造等の詳細な解析を計画している.また平面的な分布を明らかにするために,ハンドコアラ-を用いた試料採取を行う.さらにはH25年度に採取した宮留,和田等の試料の解析を進め,園部地区との対比を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
県道工事の進捗状況の変化に伴い,ミニトレンチ調査が平成26年度に延期となったため. 来年度の予算は主に小型のトレンチ費用,放射性炭素同位体年代費用,研究発表・調査出張等の費用としての執行を予定している.
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Research Products
(3 results)