2012 Fiscal Year Research-status Report
フェムト秒電子ビームによる相対論的レーザープラズマ相互作用の超高速観測
Project/Area Number |
24540537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時田 茂樹 京都大学, 化学研究所, 助教 (20456825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザープラズマ / テラヘルツ / サブミリ波 / 超高速 / 高強度レーザー / レーザー加速 / 電子ビーム |
Research Abstract |
高強度超短パルスレーザーを固体へ照射した際に生じるレーザーと高密度プラズマとの相互作用は、現代のプラズマ物理分野の主要な研究課題の一つになっており、各国の物理・工学系研究施設で実験的・理論的研究が進められている。我々は、数センチメートル以上の長い金属ワイヤーに高強度フェムト秒レーザーを照射した際、ワイヤー軸方向に強く高速電子が放射される興味深い現象を2011年に発表した。その実験結果は、放射された高速電子群と導体ワイヤーとが強く相互作用し、長距離にわたって電子の誘導が生じたことを示唆しているが、強い相互作用が生じた原因は明らかになっていない。一方で我々は、原子スケールの超高速現象観測のための超高速電子回折に関する研究を実施し、レーザー加速した電子ビームを磁気パルス圧縮器により時間的に圧縮する独創的な原理に基づく電子ビーム発生法を完成させ、パルス幅約500fsの超短パルス電子ビームを得ることに成功した。現段階では、フェムト秒電子ビーム発生の技術を有する研究グループは世界でも数少ない。この独創技術をーザーと高密度プラズマとの相互作用の超高速現象観測へ世界に先駆けて応用し、実験プラズマ物理をの新たな可能性を拓くことが本研究の目的である。 高強度レーザーを照射した金属ワイヤー近傍にフェムト秒電子ビームを通過させ、電子ビームの偏向角をポンプ・プローブ計測することにより、ワイヤー表面に生じた電場および磁場を定量的に測定する新しい手法を開発・実証した。その結果、高強度レーザー照射直後に、ワイヤーに沿ってほぼ光速で伝播する非常に高強度な短パルス電磁波が発生することを新たに発見した。本実験結果はレーザー光のエネルギーが非常に効率よくサブミリ波領域の表面電磁波へと変換できることを示しており、学術と応用の両面において重要な知見となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度にフェムト秒電子ビーム発生装置の加速エネルギーの増強を行う予定であったが、大幅な増強をしなくとも計測が可能であることが新たな解析でわかったため、二年目の計画を前倒しで実施した。その結果、学術と応用の両面において重要と思われる新たな発見が得られた。今後の研究展開が期待される予想以上の成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験によりレーザープラズマを用いてレーザー光のエネルギーが非常に効率よくサブミリ波(テラヘルツ波)領域の表面電磁波へと変換できることが明らかになった。これは予想外の結果であるが、学術と応用の両面において重要な知見となると考えられる。特に近年、高強度テラヘルツ波の研究が盛んに行われており、注目度が高いことから、新しいテラヘルツ発生法として今回の実験手法を基にした新手法を確立することが急務であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた初年度の装置改良(フェムト秒電子ビーム発生装置の加速エネルギーの増強)の一部を次年度以降に行う予定である。
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[Presentation] 高出力中赤外ファイバーレーザー2013
Author(s)
時田茂樹,村上政直,清水政二,橋田昌樹,阪部周二
Organizer
レーザー学会学術講演会第33 回年次大会
Place of Presentation
姫路市, 姫路商工会議所
Year and Date
20130128-20130130
Invited
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