2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能評価・開拓を目指した支配因子分離型NMR解析法の提案と実践
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24550051
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
林 聡子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (00294306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 和郎 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80110807)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NMR化学シフト / 77Se NMR / 125Te NMR / 量子化学計算 / 結合定数 / 相対論効果 / 分子軌道法 |
Outline of Annual Research Achievements |
核磁気共鳴法(NMR)法は、物質科学の研究において極めて重要な手段である。NMR測定は化合物の同定や構造解析および反応追跡等を目的として日常的に行われ、化学シフトおよび結合定数を中心に解析される。NMRの解析結果は、極めて重要な情報を含んでいるにもかかわらず、物質の機能評価や開発の基本的なデータとして用いられることは少ない。この原因は、NMR化学シフトや結合定数が本質的に磁気的現象によるため、実験化学者にとっては、その詳細な解釈が複雑で難解であるためである。また高周期元素のNMRでは、相対論効果のためにその解釈がさらに難解なものとなる。そこで本研究の目的を、実験化学者にとっては難解な磁気的現象の詳細な解析は避け、物質の機能評価や開発に役立つ新規NMR解析法を提案し、実践することとした。 具体的な研究課題は、次の4つである。(1) 分子軌道法に基づく77Se NMR化学シフトの新規解析法の提案と視覚化、(2) 新規NMR解析法の6Li, 11B, 13C, 17O, 19F, 29Si, 31P, 33S, 95Mo, 119Sn,および125Te核への適応、(3) 分子軌道法に基づく結合定数(J値)の新規解析法の提案と視覚化、(4) 鍵化合物の設計・合成および理論的根拠の確保と実験化学者の期待に答える精度の高い新規NMR解析法の確立。 平成26年度は、当初予定通り、(3)および(4)の課題を中心に取り組んだ。(3)については、分子軌道法に基づく結合定数(J値)の新規解析法が確立でき、視覚化もうまく行えた。また実例も示すことができた。(4) 鍵化合物の合成は大まか行えたが、一部収率が非常に低く、完成までもう少し時間を要する。また(1)について、応用例がうまく増やせ、満足いく成果が得られた。
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