2013 Fiscal Year Research-status Report
球面上での荷電コロイド結晶化を用いた正多面体状微粒子クラスターの構築
Project/Area Number |
24550160
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山中 淳平 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80220424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥薗 透 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10314725)
豊玉 彰子 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (50453072)
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Keywords | コロイド / 微粒子 / クラスター / クーロン引力 / 界面活性剤 / 凝集 / 会合体 / 正多面体 |
Research Abstract |
本研究では、球面上の荷電コロイド結晶化に基づき、粒子が正多面体(4 面体など)型に配列した、新規な粒子クラスターを構築する。本クラスターは異方的結合性を持ち、かつ量産が可能である。またその自己集合により、新規構造の構築を目指す。3 年間の研究期間内に、正多面体(4、8、および20 面体)型クラスターの生成条件、およびクラスターの自己集合により形成される構造の種類、を系統的に明らかにしたい。特にダイヤモンド格子構造の構成単位である、正4 面体型クラスターの作成と、その集合構造を重点的に検討する。具体的には、(1)平板上で2次元荷電コロイド結晶の作成、(2)正多面体型クラスターの構築、(3)クラスターの自己集合による高次構造の構築、の3 課題を設定し、順次検討する。 本年度は引き続き、正多面体型のクラスターの作成に注力し、正電荷と負電荷の粒子のクーロン力を利用する手法で検討した。市販または合成の負電荷を持つ数種のポリスチレン粒子(粒子直径 = 390,430,510,600,770,780,1200nm)と、合成により得た正電荷を持つポリスチレン粒子(粒径420nm)を混合することで、会合体を得た。負電荷粒子数を大過剰にすることで、クラスター粒子とフリーの負電荷粒子の混合体を得た。クラスターの会合数を顕微鏡観察し、適切な粒径比の390,430,510nmについて、目標としていた正四面体型クラスターを得た。さらに、界面活性剤を添加して電荷を反転させる手法で、負電荷を持つ2種類のポリスチレン粒子からもクラスターを得た。本内容は、欧州コロイド学会(2013年9月、ブルガリア)、また一部をCECAMコンファレンス(2013年5月、スイス)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討により、目標としていた正多面体型クラスターの生成条件が明らかになった。特にコア粒子と外部粒子の至適粒径比が分かり、今後の作成指針となった。研究計画では、25年度以降の実施内容として、正多面体型(4,8,20面体)クラスターの構築を引き続き検討し、正四面体クラスターが再現性よく構築できれば、クラスター構造の固定化と単離、およびクラスターの自己集合による高次構造の構築に進むこととした。上述のように、意図していた方法(正に帯電した、ビニルピリジンースチレン共重合体粒子を合成し、負に帯電したポリスチレン粒子とクーロン力によりクラスターを作成する)により、正4面体型クラスターを得ている。8,20面体クラスターについては、会合粒子数を顕微鏡観察で確認することが困難で、次項に示すように蛍光色素の導入により可視化を検討中である。ただし、今後の高次構造への展開を考える上で、最も有用なビルディングブロックとなるのは正4面体型であり、その合成に成功したことで、おおむね当初の計画を達成したと考えている。また、以上の成果は、国際学会をはじめ多くの学会で報告しており、研究者とディスカッションする機会も得られ、次年度の課題も明らかになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在下記項目を検討しており、継続検討する。(1)クラスターの粒子会合数と分布を正確に評価したいが、顕微鏡観察が困難である。このため、蛍光染色した、正荷電のポリスチレン粒子の合成に取り組んでいる。現状では粒子サイズが200~300nm程度で、観察がやや難しいことから、400nm以上の粒子の合成を検討している。(2)会合数決定のクロスチェックが必要であり、分別操作の予備的検討を兼ねて、電場印加下でのクラスター泳動の顕微鏡観察を行っている。会合数によりクラスターの総電荷数値が離散的に異なるため,粒子の電荷数条件によっては、高分解に分離可能と思われる。(3)界面活性剤を利用する手法に置いては、吸着の設計上、界面活性剤の吸着等温線を決定する必要があり、遠心分離などで得た上澄みの中の界面活性剤濃度の定量等を実施している。 また、上記に加え、次の課題を鋭意実施する。(4)正四面体型クラスターの単離:電場印加(電気泳動)または遠心分離により、正四面体クラスターとフリー粒子を分離する。すでに白金電極を設けた顕微鏡観察セルを作成し、100V/cm程度の直流電圧の印加による粒子の泳動を確認している。今後、ビデオ動画の解析による泳動速度の正確な評価を行う予定である。会合数と泳動速度に明確な対応関係が得られれば、電気泳動装置による分離を行う。電気的な手法が困難であれば、密度勾配遠心法を適用する。(5)正四面体型クラスターの構造形成:単離したクラスターを自己集合させ、高次構造を作成する。正四面体の固定と、部分的な高分子修飾が必要である。すでに予備的に、クラスター分散液にシランカップリング剤など固化する成分を添加して固定を検討しているが、現状では無定形の凝集が生成している。
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Research Products
(15 results)